研究課題/領域番号 |
22KK0200
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
福井 昌則 徳島大学, 高等教育研究センター, 准教授 (10599765)
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研究期間 (年度) |
2023 – 2025
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キーワード | 学習支援システム / 創造性 / 作問学習 / Computational Thinking |
研究実績の概要 |
本研究では,問題変形作問とコンピュテーショナルシンキングに関する調査を行い,問題変形作問と外部尺度との関連性を明らかにすることを試みた.対象国はマレーシア,インドネシアであり,日本でも同様の実験を実施した.対象者は大学生(マレーシア,インドネシア,日本),小学校教員(インドネシア),中学校教員(マレーシア,インドネシア)であり,全体で800名弱のデータが得られた.教員のデータ収集においては,マレーシア,インドネシアで教員対象のセミナー(Inquiry-based Learning)を実施し,その後参加者に回答してもらうという形式をとった. 分析の結果,問題変形が多くできる被験者は,そうでない被験者と異なり,隠されたパラメータの発見と俯瞰して問題を変形するスキルが高く,コンピュテーショナルシンキングのアルゴリズム的思考と批判的思考が高い傾向が見られた.しかし,協調や問題解決とは関連性が認められなかった.これらの結果から,問題変形作問を支援するためには,隠されたパラメータを発見させること,問題を俯瞰して見ることを支援することが重要であることが示唆された.しかしこれはデータ分析の一部にすぎず,今後さらに分析を進める必要がある. 本年度は,多くの国に渡航し,セミナーを実施した.様々な国でのデータ収集のために多くの時間を要したため,一部の分析のみしかできていない.現在,各国のデータを比較検討し,その特徴を明らかにする分析を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,様々な国でのデータの収集のために多くの時間を要したが,様々な属性の被験者からデータを集めることができた.国際共同研究として,このようなデータの取得は大きな課題となっているが,多くの先生方の協力により実現した.現在それらのデータの分析を順次進めている. よって本年度は,3カ国のデータ収集を行えたという観点から,おおむね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,これまでに得られたデータを順次分析し,問題変形作問と創造性,コンピュテーショナルシンキングとの関連性を明らかにする.そして,それらの結果を踏まえ,問題変形作問の難易度を明らかにした上で,その支援策を検討する.ならびにシステム開発に向けた基礎的知見とする. 2025年度は,2024年度の結果を踏まえ,これまでに試作した問題変形作問学習支援システムを改修し,実践的評価を行う. これらの研究を通して,国際共同研究強化(A)で掲げた課題の達成を目指す.
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