2023年度においては、2024年度9月より開始するイギリスのケンブリッジ大学での国際共同研究の準備のための作業を開始した。まずは、日本国内における、様々な民事紛争解決手続のデジタル化の現状と課題について、法改正の進捗状況、法実務の運用状況を調査しながら整理をした。特に2022年に改正された民事訴訟法におけるデジタル証拠についての規律について、従来の規律や解釈論と比較しながらその意義を明らかにした。また、2023年度に改正されたその他の様々な民事訴訟手続におけるデジタル財などの取扱いについても、その現状や理論的な分析を示す資料の調査や収集作業に着手した。 さらに、様々な民事訴訟手続におけるデジタル財の位置づけ、国内及び国外でのデジタル財の追跡のための様々なツールとそれに対する国際的な規制のあり方、倒産手続におけるデジタル財の取扱いについて、国際連合国際商取引法委員会(UNCITRAL)や私法統一国際協会(UNIDROIT)における議論の進捗状況について、インターネットを通じての調査を開始した。 また、ケンブリッジ大学における共同研究者との間で、日本及びイギリスにおける民事紛争解決手続のIT化やデジタル財をめぐる現状と課題について意見交換等をするとともに、受け入れのための手続を行った。それに加えて、共同研究者の過去および近時の研究関心テーマを整理し、裁判外紛争処理手続を含めた様々な民事紛争解決手続のデジタル化や、それらの手続における人工知能の利用などについての近時の研究成果の分析作業を開始した。
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