研究課題/領域番号 |
22KK0233
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
井上 伊知郎 国立研究開発法人理化学研究所, 放射光科学研究センター, 研究員 (30783401)
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研究期間 (年度) |
2023 – 2024
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キーワード | X線自由電子レーザー / 構造解析 / アト秒科学 / 電子加速器 |
研究実績の概要 |
本研究では、従来のX線構造解析法では困難であった「軽元素の可視化」を、ナノサイズに集光したアト秒X線自由電子レーザー(XFEL)を用いることで実現することを目的としている。基課題で開発中のX線ナノ集光光学系に、ナノ集光したアト秒XFELを組み合わせて試料からのX線散乱を測定する。このような高強度XFELの照射下では、原子番号が大きな元素の散乱能は光電効果で作られた内殻ホールのために著しく低下するため、軽元素からの散乱信号を相対的に増幅することができる。この原理を用いて軽元素の密度分布や空間配置を決定することによって、「X線構造解法では軽元素が見えづらい」というこれまでの常識を覆すことを目指している。 2023年度は、ハンブルク大学の訪問研究員としてEuropean XFELでのアト秒X線パルスのコミッショニングに参加し、測定されたスペクトルの解釈や光診断技術についての助言を行った。現地の加速器研究者と議論やシミュレーションを行った結果、パルス幅が約200アト秒のXFELが安定して生成されていることが確認できた。得られた実験とシミュレーションの結果は、近日中に学術論文として投稿予定である。 また、基課題で作成した集光ミラーの試験実験についてEuropean XFELとLCLSの研究者らと議論を行ったほか、これらの施設におけるアト秒XFELを利用した実験について研究代表者が課題代表者として課題申請を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
LCLSやEuroXFELでのアト秒XFELを用いた実験に向けて、現地のビームラインサイエンティストやサイエンスダイレクターと議論を行った。その結果、両方の施設において、基課題で開発中のX線ナノ集光光学系を用いてXFELを集光するテスト実験を行うことが決まった。また、研究代表者がEuropean XFELに申請していた実験提案が採択され、2024年10月に実験がスケジュールされることになった。2024年度の実験に向けて着実に足場を固めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年内にLCLSおよびEuropeanXFELで基課題で開発したX線光学素子を用いてナノ集光実験を行う。また、2024年10月にEuropean XFELでアト秒XFELを利用した軽元素の可視化の実験を行う。並行して、ハンブルク大学Center of Free-Electron Laser Science(CFEL)の研究者らと高強度アト秒XFELを照射した際の物質の振る舞いやX線散乱強度の変化についてのシミュレーションを用いた研究を行う。
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