研究課題/領域番号 |
22KK0242
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
岡本 章玄 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 高分子・バイオ材料研究センター, グループリーダー (70710325)
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研究期間 (年度) |
2023 – 2025
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キーワード | 硫酸還元細菌 / 微生物鉄腐食 / 薬剤耐性 / レドックス分子 |
研究実績の概要 |
微生物鉄腐食の革新的オンサイトリスク評価技術の創生へ向けて、基課題では主要な原因である硫酸還元細菌(SRB)の鉄から電子を引き抜く反応を加速する可溶性レドックス分子のデータ駆動型探索を電気化学計測に基づいて進めている。薬剤耐性遺伝子群の発現がレドックス特性を有する二次代謝物によって制御される機構は多様な細菌で確認されているが、微生物鉄腐食の分野においては報告がない。申請者らは、殺菌剤を定期的に添加していても微生物腐食による事故が絶えない原因として、二次代謝物による薬剤耐性の活性化機構を着想した。本国際共同研究では、二次代謝物と薬剤感受性の研究において世界をリードしているDianne Newman教授と共に、SRBの殺菌剤耐性獲得とレドックス分子の関係に迫る。これまでに具体的には、薬剤耐性を活性化する分子を探索する電気化学手法の開発をモデル細菌系を用いて行ってきた。薬剤耐性タンパク質の活性を電気化学的に評価することが可能になっており、この手法を今後はSRBを含む細菌系へ適用していく予定である。また、Dianne Newman研究室において行っている緑膿菌の電気化学培養と、岡本らのハイスループット系の技術を組み合わせた新しい共同研究が展開している。この研究によって電気化学培養時に興味深い薬剤耐性を有することが新たにわかってきており、NIHの予算申請へ現在準備中である。また、本内容に関しては、すでに論文を投稿済みであり、二報目の論文投稿へ向けて準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定していた研究内容に加えて、薬剤耐性機構を司る特定のタンパク質の速度論を電気化学を使って直接追跡することができる手法が開発された。この手法は、これまで分光的な活性を持つものでしか観測できなかったタンパク質活性を、レドックス分子であれば適用できる画期的な手法である。さらに、Dianne Newman研究室の緑膿菌研究と岡本の技術を組み合わせたことで新しい研究へと展開している。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定していたSRBの薬剤耐性に干渉する分子の探索に加えて、新たに開発したタンパク質の活性追跡方法を他の微生物に展開していく。特にDianne Newman 研究室は緑膿菌の研究を行っており、本手法を同細菌に適用することで共同研究をさらに展開していくことを考えている。
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