農耕地雑草は栽培管理や雑草管理に適応した形質を持っており、その形質を雑草性という。雑草性が種内や種間で異なるため、場面や地域、年次変動により最適な管理方法が異なることが多く、雑草管理の最適化の実現を困難にする最大の課題である。本国際共同研究では、雑草イネとテオシントを用いて集団ゲノミクス解析や遺伝解析等により雑草性の遺伝的背景を明らかにし、農耕地への適応に必要な最低限の遺伝子セット、雑草性コア遺伝子を決定する。国内研究費は計上していないため、渡航前は海外共同研究者とのオンラインおよびメールでの打合せにより、基課題でこれまでに明らかにした種子休眠性の候補遺伝子や既知の休眠性遺伝子に関して、雑草イネとテオシントの共通点・相違点の整理を中心に議論した。2月に渡航し、Local ancestry inference等の集団ゲノミクス手法で雑草由来のゲノム領域を検出するため、双方が所有する雑草イネ・テオシントの材料を選定するとともに、アメリカの雑草イネなど公共データベースに登録済みのデータの活用方法について決定した。また、海外共同研究者が収集したフランスの雑草イネを供試することで雑草性コア遺伝子の検証に活用できる可能性が考えられたため、予備試験として種子休眠性の系統間差異等の種内変異を評価した。また渡航先のバイオインフォマティクス解析サーバを用いて集団ゲノミクス解析を進めるため解析環境を構築した。
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