「骨の質」を基盤とした術後合併症予測モデルの国際展開

2023 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 22KK0265
• 研究機関: 昭和大学
• 研究代表者: 石川 紘司 昭和大学, 医学部, 講師 (40794946)
• 研究期間 (年度): 2023 – 2025
• キーワード: 脊椎手術 / 骨粗鬆症 / In silico強度解析 / 有限要素解析 / インプラント / 骨代謝 / 術後合併症

研究実績の概要

様々な障壁はあったものの、本年度は多くの施設と国際共同研究基盤を整えることができたと感じている。直接的な結果につながる解析業務に多くの時間を費やしてきた一方、基課題と本課題を円滑に進めるために、研究チームとして前進することに注力してきた。結果、現在のところ、良い環境で研究を進めることができていると感じている。また、他施設との多くの会議を経て、新たな展開も生まれており、今後はさらなるダイナミックな展開を期待している。さらに、Cornel大学の関連病院である、Hospital for Special Surgeryと共に行った共同研究の一部結果をアメリカ整形外科基礎学会(2024年2月)で発表することができた。こちらに関しては、より解剖学的なアプローチをとり「どのようにCaucasian(白人)の椎体骨の加齢性変化が骨強度に影響するのか」を明らかにした。その他にも、Caucasianの筋肉の脂肪変性と椎体骨強度との連関についても精査し、MRI画像より測定される脂肪変性が骨の強度そのものに影響する可能性を報告した。その他の様々な因子もCaucasian(白人)の骨強度に関与することが想定されるが、今後はさらに骨と多臓器連関について人種間の違いも考慮しながら調査していく予定である。その他のプロジェクトとしては、本邦や世界中の臨床Dataを用い、UC Burkeley大学との共同研究準備を行っている。こちらに関して準備段階ではあるが、今後発展的な研究を行うことができる可能性が高いと感じている。

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

他施設との多くの会議を経て、新たな展開も生まれており、いくつかの研究結果は国際誌に投稿準備中である。その他にも、いくつかの研究結果は国際学会で発表することができた。さらに現在進行形で新たに始まったプロジェクトもあり、進捗状況は比較的順調と考える。

今後の研究の推進方策

今後はこれまで構築した研究チームを最大限活用し、研究時間のさらなる確保と効率化を目指す。基課題に関しても継続して症例登録と解析を行っていく予定である。また、社会に還元できるよう、アウトプットにも注力していきたい。さらに、同時に進めているその他の国際共同研究プロジェクトも精力的に発展させる予定である。今年度も新たな着眼点で国際共同研究に従事し、新たなパイプラインを強固にし、新たな知見を発信したい。

研究成果

• [雑誌論文] The potential effect of romosozumab on perioperative management for instrumentation surgery (2024)
  • 著者名/発表者名: Koji Ishikawa, Soji Tani, Tomoaki Toyone, Koki Tsuchiya, Tomoko Towatari, Yusuke Oshita, Ryo Yamamura, Takashi Nagai, Toshiyuki Shirahata, Katsunori Inagaki, Yoshifumi Kudo
  • 雑誌名: medRxiv 巻: 23298298 ページ: 23298298
  • DOI: 10.1101/2023.11.09.23298298
  • オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] Changes in Testing and Treatment Methods in Osteoporosis Care (2024)
  • 著者名/発表者名: Takashi Nagai, Koji Ishikawa, Koki Tsuchiya, Sojiusuke Oshita, Keizo Sakamoto, Nobuyuki Kawate, Yosh Tani, Yusuke Dodo , Yifumi Kudo
  • 雑誌名: J Osteoporosis 巻: 9629891 ページ: 9629891
  • DOI: 10.1155/2024/9629891
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Relationship between sacral-abdominal wall distance, movement performance, and spinal alignment in osteoporosis: a retrospective study (2024)
  • 著者名/発表者名: Takashi Nagai, Makoto Miyagami, Shota Nakamura, Keizo Sakamoto, Koji Ishikawa, Ichiro Okano, Fumihito Kasai, Yoshifumi Kudo, Nobuyuki Kawate
  • 雑誌名: BMC Geriatric 巻: 24 ページ: 252
  • DOI: 10.1186/s12877-024-04865-x.
  • 査読あり / オープンアクセス
• [学会発表] The influence of paraspinal muscle fatty degeneration on bone strength measured by finite element analysis (2024)
  • 著者名/発表者名: Soji Tani, Koji Ishikawa, Erika Chiapparelli, Gaston Camino-Willhuber, Lukas Schönnagel, Thomas Caffard, Ali E. Guven, Ek Tsoon Tan, Jennifer Shue, John A. Carrino, Federico P. Girardi, Andrew A. Sama, Frank P. Cammisa, Alexander P. Hughe
  • 学会等名: ORS
  • 国際学会
• [学会発表] Impact of Lumbar Degenerative Change on Vertebral Bone Strength: A Finite Element Analysis (2024)
  • 著者名/発表者名: Soji Tani, Koji Ishikawa, Erika Chiapparelli, Gaston Camino-Willhuber, Lukas Schönnagel, Thomas Caffard, Ali E. Guven, Jennifer Shue, John A. Carrino, Federico P. Girardi, Andrew A. Sama, Frank P. Cammisa, Alexander P. Hughes
  • 学会等名: ORS
  • 国際学会
• [学会発表] Assessment of Romosozumab Treatment on Spine Bone Strength Using Biomechanical Computed Tomography Virtual Stress Tests (2023)
  • 著者名/発表者名: TM. Keaveny, Mary Oates, Donald Betah, Yifei Shi, Jen Timoshanko, Corinna C. Zygourakis, Mohamad Bydon, Kelly Krohn, Koji Ishikawa
  • 学会等名: ASBMR
  • 国際学会
• [学会発表] Mouse model of uncoupled bone remodeling upon discontinuation of anti-RANKL antibody therapy (2023)
  • 著者名/発表者名: Koji Ishikawa, Soji Tani, Sakai Nobuhiro, Yoshifumi Kudo, Hideyo Horiuchi, Kimura-Suda Hiromi, Masamichi Takami, Tsuji Mayumi, Katsunori Inagaki, Yuji Kiuchi, Takako Negishi-Koga
  • 学会等名: ASBMR
  • 国際学会