研究課題
(反応点検出器)実機の最内層用とほぼ同じ大きさで厚さを薄くしたセンサー試作機の製作に成功。また中性子による放射線損傷試験を開始し、東北大学CYRICで中性子の試験的照射を行った。(飛跡検出器)開口率の大きい薄膜GEMによる陽イオンの逆流阻止ゲート装置を開発。磁場無し試験により80%近い透過率の目処がついた。ガス増幅機構に関するモックアップ試験、読み出し回路冷却のための高伝導性材料の試験をそれぞれ進めた。(SciCAL)電磁カロリメータに関し、ストリップ層の間にパッド層を置く事でコストを抑えつつ性能堅持が可能というシミュレーション結果を得た。読み出し電子回路の積層化に成功。ハドロンカロリメータ用のストリップの性能検証の準備を進めた。(SiCAL)昨年度に整備した赤外レーザーによる検査装置を用いてシリコンパッドセンサーの基礎特性試験を行った。フランスOMEGA研究所製のASICの性能評価およびその読み出し回路・ソフトフェアの改良に着手した。(測定器最適化)126GeVヒッグス粒子についてシミュレーションを行い、重心系エネルギー500GeV、1TeVにおけるヒッグス自己相互作用測定の評価を行った。また、重心系エネルギー250GeV、500GeV、1TeVにおけるヒッグス粒子の崩壊分岐比、崩壊幅、生成断面の精度評価を行った。(ソフトウェア)様々な物理解析のため、モンテカルロ標準サンプル(重心系エネルギー250GeV、350GeV合計約130TB)を作成。また、FPCCDバーテックス検出器に最適な飛跡再構成コードを開発、ビーム由来バックグランド下での飛跡再構成効率を大幅に向上した。現在、この際のフレーバー同定性能劣化の改善中。(荷電粒子飛跡再構成)昨年度に試験実装した分割ヘリックス飛跡モデルによる非一様磁場中での飛跡フィットアルゴリズムを、簡単な飛跡検出器モデルを用いて動作試験し、最適化完成した(論文雑誌に掲載)。(測定器インテグレーション国内候補地の1つを例にとり、港湾から実験ホールまでのルートを実際に調査した。測定器組立の工程を検討し、現実的な工期を期待できることを確認した。
2: おおむね順調に進展している
(反応点検出器)(概ね順調)予定より1年早く大型で薄型のFPCCDセンサーの開発に成功した。一方、読出し回路の開発に関しては、平成25年度中にフロントエンド以降の回路の開発を開始する予定であったが、着手できなかった。(飛跡検出器)(やや遅れている)ゲート開発では進展があったが、他の項目に関しては遅れが出ている。特に読み出し回路はモジュール構成の基本になり、冷却機構、パッド配置、HV取り回し、増幅機構と関連する。担当グループが国外であり緊密な連携体制を取れていない。今後の開発を進めるためには、本課題でもある外国との連携強化に努めることが不可欠である。(SciCAL)(概ね順調)ハイブリッド電磁カロリメータの最適化の可能性をシミュレーションにより示した。また、シンチレータストリップの厚さと光センサー設計について大きな進展があり、最終設計への目処がたった。ハドロンカロリメータ用シンチレータストリップは、長さ方向の最終的な最適化に入り、来年度のビームテストの準備が着々と進行している。(SiCAL)(概ね順調)国際協力・企業との協力のもと、シリコンパッドセンサーの改良と低コスト化が進んでいる。読み出し部分についてもフランスグループとの国際協力のもと開発が進んでいる。(測定器最適化)(概ね順調)ヒッグス崩壊分岐比、生成断面積、崩壊幅測定に必要な物理量を多角的に評価し、アメリカ・スノーマス報告として掲載することが出来た。しかし、一部の解析でヒッグス質量の更新が済んでいない。(ソフトウェア)(概ね順調)当初の計画では、現実的な測定器シミュレーターを作成し、国際協力でGRIDを活用した国際解析体制を確立することを目標していた。1昨年来のDBDやSnowmassに向けた研究の中でこれはほぼ達成され、特に昨年度には日本が多数のデータ作成を分担したので日欧が相互に分担して解析する体制は確立したと考える。ただし、DIRACツール小規模計算にしか使用されていないので今後さらに使用を増やし問題点のあぶり出しとその解決が必要である。(荷電粒子飛跡再構成)(概ね順調)分割ヘリックス飛跡モデルの概念による非一様磁場中での飛跡フィットアルゴリズムをを、非一様磁場モデルで試験、完成し投稿論文としてまとめるこごたできたが、実際の非一様磁場の場合(ビーム試験データ)に対する応用試験を行うまでに至らなかった。しかし、当初計画に比べればほぼ計画通りの進捗状況である。(測定器インテグレーション)(概ね順調)信号伝送ケーブル、電源ケーブル、冷却システム等のサービス機構、および、測定器を安全、かつ素早く移動する仕組み(プッシュプル機構)についての検討も進めている。検討結果についてはILCの技術設計書にも掲載されている。ただし、現時点では最終案には到達していないと考えている。これは、前述の機構は地下実験ホール自身の土木設計と密接に関連しているために、検討すべき項目が多く時間を要しているためである。
(反応点測定器)平成26年度以降にはピクセルサイズが最終目標の5㎜の小型プロトタイプセンサーの開発を行うとともに、フロントエンド以降の読出し回路の開発を開始する。さらにセンサーとASICを搭載したラダーの試作機の開発を開始する。(飛跡検出器)実機モジュールの設計製作を完了するため、読み出し回路の準備行程を明確にし協力体制を見直す。確定しているパラメーターをもとに進められる設計(パッド配置と読み出しラインのルーティング、HV設置仕様とルーティング等)を前倒しで行う。冷却システムに関し、熱源となるASICと冷却部材、冷却パイプとの接合試験を行い、モジュールに組み込む機構を設計する。読み出し回路の設計が固まった段階で全ての擦り合わせをおこない全体設計を行う。(SciCAL)H25年度にビームテストにより電磁シャワーカロリメータの読み出し回路の積層化に関して確かな知見を得た。ただしパワーパルシングは未試験なので、H26年度はその試験を重視して行い、実機製作への判断材料を得る。またハドロンシンチレータカロリメータについてストリップシンチレータの長さの最適化をし実機に近い形でビームテストを行う事により、ILDへの提案の判断材料とする。(SiCAL)引き続き、シリコンパッドセンサーおよび技術プロトタイプの試作・評価とシミュレーションによる最適化を進めるとともに、センサーの大量検査システムの設計・試作を行う。(測定器最適化)ヒッグス質量が未更新の一部の解析を更新する。また、ヒッグス自己相互作用測定を始めとする物理解析全般の感度向上のため、終状態の粒子識別を中心とした解析手法(エネルギー損失 : dE/dx、カロリメータ中のシャワー形状情報の利用)の向上を目指す。同時に、エネルギー増強計画策定に必要な重心系エネルギー350GeVにおける物理性能の評価を行う。(ソフトウェア)ILDでは測定器の更なる最適化とILC物理の検討のため引き続きモンテカルロ大量データ生成を計画している。DIRACツールを活用してこれらのデータ生成を行えるようツールの整備を進める。また、バックグランド下でのFPCCDによるフレーバタッギング性能は不十分であるのでニューラルネットによるタッギング判定条件を改善し性能の向上を図る。この結果に応じて、必要であればバーテックス測定器の構成変更の可能性についても検討する。(荷電粒子飛跡再構成)TPCビーム試験データにおけるヒット点歪みの理論的理解と系統的な補正法を確立し、非一様磁場中での飛跡フィットプログラムと組み合わせ、実際のLC実験に近い環境で性能試験を行う。さらにTPC以外の飛跡検出器も実装し、飛跡検出器全体としての性能試験を行う。(測定器インテグレーション)測定器インテグレーション方法をさらに具体的なものとしていくために、各測定器グループの最新の検討結果を集約していく。また、測定器インテグレーション方法の検討を進めるのと平行して、効率的、かつ安全なインテグレーションを可能にする地下実験ホールの構造や、プッシュプル機構等の付帯設備の検討について、施設設計を担当している国際設計チームと情報交換をこれまで以上に密接にしながら進めていく。
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