研究課題
平成24年の7月にジュネーブ郊外にあるCERN研究所の陽子陽子衝突器LHCにおいてすべての素粒子の質量の起源とされているヒッグス粒子が発見され新しい素粒子物理学の時代の幕が開いたが、国際リニアコライダー(ILC)はヒッグス粒子もしくはそれに変わって素粒子の質量の起源となるが現象をLHCをはるかに超える感度で精査し、その新時代をリードすべき施設として国際的に推進されてきた。この研究は日本のグループ中核となって、新しい概念PFA(Particle Flow Algorithm)に基づいた高分解能測定器を開発することでILCのための測定器開発のイニシアティブを取り、ILC実現に向けて国際的新展開をもたらすことを目的とする。PFAとは、測定器内部の反応で起こるシャワー現象の二次粒子を一つ一つ分離し、荷電粒子は飛跡検出器、中性粒子はカロリメータの情報を選択的に用いることで、素粒子反応の一次生成物であるクォークやレプトン、光子等の基本粒子の持つエネルギー・運動量をこれまでにない精度で測定するという新しい概念である。我々は、3つの中核的測定器要素、すなわち、反応点検出器、飛跡検出器、およびカロリメータにおける革新的・独創的研究開発を要するとともに、その潜在能力を最大限に活かすソフトウェアの開発、それを用いた全体最適化することに焦点を当てた。反応点検出器では高精細CCD技術に基づき放射線耐性と読出し速度を改良した半導体検出器FPCCDを開発し、実機のサイズのセンサープロトタイプを製作、基本的な機能が実証された。飛跡検出器はTPC技術を用いて国際共同研究LCTPCの枠組みの中で研究開発を行い、最も有力な電子検出方法といわれるGEMの開発で世界をリードするに至った。さらにカロリメータの開発でも国際共同研究においてシンチレータとシリコンによる読出を使ったカロリーメータを開発して主導的立場を築いた。測定器最適化は物理解析のシミューレションを通して行われるが、そこでもヒッグス粒子、トップクォーク、シン粒子など最も重要な研究で国際的シーンをリードすることができた。以上のような成果は広く認識され、平成25年にリニアコライダーの国際組織が再編された際には、この研究の代表である山本が物理測定器の担当ディレクターに選ばれ、杉本が国際測定器グループILDの共同代表となった。また、平成27年度には川越がILDの時期副代表となることが決まった。その他にも、ILDのexecutive boardにはこの研究グループから多くのメンバー参画するに至った。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 2件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (98件) (うち国際学会 77件、 招待講演 78件)
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