研究課題
特別推進研究
空乏層の厚いPチャンネルCCDを使って、大面積のSDCCDを組上げた。このとき、薄いシンチレータを完全に密着させる手法については、CCDの代わりにガラス板を使って気泡のできていないことを確認した。さらに、従来の装置で問題になっていた素子周辺部分からの赤外線光入射を防ぐためのオプティカルブラックも塗布して、有効であることを確認した。現在の素子の信号ケーブルは、フライト類似品であるために、フライト用を念頭に置いて、フレキの設計を始めた。CCDの冷却については、機械式冷凍機を使った設計を取り入れた。冷凍機は衛星搭載実績のあるスターリングサイクルを使ったもので、フライト用と互換性のある構造の民生品を使って、その熱設計の有効性や、ハンドリングなどを確認した。信号処理回路のASIC化については、ASTRO-H計画の進捗に合わせて、衛星搭載を念頭に置いたパッケージングを行い、従来の性能であること、さらには放射線耐性も十分であることなどを確認した。信号処理系については、素子の性能を調べるための標準的な動作の他、FFASTで必要になるTDIモードを実現すべくクロッキングを可変にできる動作を取り込んだ。NECと共に進めたFFASTの設計に関しては、どんな機器をどう配置するかなど、熱設計の他に機械設計においても予定通りに進捗した。FFASTの焦点距離20mに合わせた硬X線望遠鏡に特化した多層膜の設計を始めた。ASTRO-Hで最適化したデザインに加え、特に入射角の小さな内側の反射鏡は単層膜で製作を簡便にすることを検討した。FFASTでは、この多層膜を成膜した反射鏡を1000枚程度製作することになるため、その量産の手法の確立を行った。特に、多層膜を真空中で成膜するのに時間がかかるが、これを短縮するため、真空排気系にクライオポンプを導入することにした。これにより、これまで5時間近くかかった排気が1時間半にすることができた。これにより、2013年度からの量産の課題の一つが解決できた。
2: おおむね順調に進展している
検出器関連で、初年度に計画した部分は概ね達成できた。素子の基本的な開発、信号処理系の改良、冷却系の設計とその確認などである。また、望遠鏡製造においても、熱設計の確認など予定した部分を達成した。研究者雇用に関しては、募集開始時期が悪かったために、思うように進まなかった。その点に関しては、担当教員や大学院生が補った。また、募集時期を年度末に行ったところ、期待した若手研究者が2012年度から雇用できることになった。以上の観点から「おおむね順調に進展している」と判断する。
当初の予定通りに進める。具体的には、小型科学衛星三号機の募集に合わせて必要な設計を進めて申請する。検出器と望遠鏡に関しては必要な装置の完成を目指す。また、FFASTで予想される結果を踏まえて、すざくやMAXIを使用しての観測を進める。
すべて 2012 2011 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
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