研究課題/領域番号 |
23000005
|
研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
永井 泰樹 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力エネルギー基盤連携センター, 客員研究員 (80028240)
|
研究分担者 |
初川 雄一 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力エネルギー基盤連携センター, 研究主幹 (40343917)
橋本 和幸 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力エネルギー基盤連携センター, 研究主幹 (80414530)
塚田 和明 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究主幹 (30343916)
今野 力 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究主幹 (90354729)
飯田 靖彦 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 教授 (60252425)
|
キーワード | 加速器 / 実験核物理 / 医療・福祉 / 放射線 / 核医学 |
研究概要 |
◆^<99>Mo:高価な濃縮MoO3標的を高密度で再利用可能な形状にすべく溶融法を開発。密度3.3g/cm3で約30gの溶融ペレット標的の安定製作に目処を立てた。MoO3は、石英との収縮率差で石英管に亀裂が生じるため容易に試験管から取出せ、標的損失は0.2%以下。電気炉内で昇華したMoO3標的を回収する2方法を開発。アンモニア水溶解法ではMoO3標的をほぼ100%回収。超音波剥離回収法では、回収率は99.1%。 10g程度のMoO3標的の経験を基に、~100g用の乾式昇華装置を設計。装置の主材料は石英とし、テストピースで900℃までの耐久試験を行い、十分使用に耐える事を確認。 ◆^<90>Y:^<90>Zr標的から^<90>Yを化学分離・精製する方法をテスト。原子力機構タンデム加速器で生成した^<88>Zr及び^<88>Yトレーサーを利用し化学分離手法を検討。分離には塩酸溶液を主体とした陽・陰イオン交換法を組み合わせ利用。現在まで、YフラクションからのZr標的の除去率を10^<-4>以下に確保。無担体Yの回収率は、樹脂の性能に大きく依存し30%~70%。Yの回収率・Zrの除去率の向上と、その他の不純物の定量評価の更なる検討を行う。高価な濃縮^<90>Zr標的の回収率は、上記で最大99%。上記の化学分離系に最適な出発物質となる濃縮標的の調整法の検討を開始。 ◆^<64,67>Cu:標的Znから^<64>Cu,^<67>Cuを分離・精製する方法を検討、テストした。キレート樹脂カラム及び陰イオン交換樹脂カラムを用いてCu及びZnの挙動を放射性でないコールド実験で調べた。先ず、標的物質ZnOの濃塩酸での溶解を確認。半減期が短い^<64>Cu及び^<67>Cuの分離・精製を迅速に行うため、蒸発乾固過程のない手順を採用。高価な濃縮Zn標的を高効率で回収するため、水酸化物(Zn(OH)_2)沈殿法をテストし、95%以上の回収率を確認。' ◆高崎研究所の加速器中性子を利用しRIを生成するための整備を完了。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
震災の影響で原子力機構の加速器・RI化学処理施設が使用できず、加速器でRIを生成する研究はできなかった。しかし、上記9に記載した様に、本研究に重要な、加速器中性子対応の標的試料の製造法・昇華等で標的から分離・精製した後の使用済試料の高回収率法の開発、及び震災の被害の無かった高崎研究所の加速器を利用した研究の準備・整備が完了した事から、おおむね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
◆^<99>Mo:加速器中性子で^<99>Moを生成し、^<99>Mo及び^<100>Mo試料から^<99m>Tcを昇華法により分離抽出する。^<99m>Tc抽出効率、^<99m>Tcの核及び化学純度、^<100>Mo試料の回収率向上を目指す。抽出した^<99m>Tcは、既存医薬品中から適切な配位子を選択し、標識率、放射化学的純度を測定し、既存医薬品の結果と比較する。大量RIから高品質の^<99m>Tcを分離精製する装置を設計・製作する。 ◆^<90>Y:加速器中性子で^<90>Zr(n,p)^<90>Y反応で^<90>Yを生成し、^<90>Zr試料から^<90>Yを分離・精製する方法を確立すると共に、同方法の自動化及び同位体濃縮試料の回収装置を製作する。^<90>Yの標識化については、合成したモデル配位子による最適標識条件を調べ、既存医薬品の結果と比較する。 ◆^<64>Cu及び^<67>Cu:加速器中性子で^<64>Cu及び^<67>Cuを生成する。Zn試料と生成されるCu同位体の化学分離は、イオン交換法等を用い行う。^<64>Cu及び^<67>Cuの製造に関して、抗体標識を念頭に高純度化を行う。^<64>Cu標識体はPETで、^<67>Cu標識体はチェレンコフ光を光イメージング装置で検出し、両画像を比較する。また、合成した種々の新規配位子については、銅との結合解離定数を測定してDOTAと比較する。培養細胞を用いて、キレート部位の導入による安定性、親和性、特異性の変化について基礎的に検討する。修飾基の導入による安定性の向上と標識効率の改善を行い、インビトロでのがん集積性を明らかにする。また、大量RIから目的とする高品質の^<64>Cu及び^<67>Cuの遠隔手法による分離精製装置を設計・製作する。
|