研究分担者 |
末光 眞希 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (00134057)
佐野 栄一 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 教授 (10333650)
末光 哲也 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (90447186)
佐藤 昭 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (70510410)
|
研究概要 |
グラフェンによる光学励起ならびに電流注入型のテラヘルツレーザー実現に向けて以下を実施した。 光学励起グラフェンレーザー : ITOミラーによる縦型レーザー共振器構造を対象として、1.55μm帯ピコ秒パルスレーザーに高出力光ファイバ増幅器を組み合わせて励起した。室温下で、2~6THzにおいて増幅を伴う自然放出光の観測に成功した[RPGR2013, 12p-P4-35, Tokyo, Sept. 9-13, 2013.]。Fabry-Perot縦モードが明瞭に観測された。しかし、誘導放出の観測には至っていない。グラフェンを転写したSi基板が低抵抗であるため発光したテラヘルツフォトンの多くが自由キャリア吸収で消滅し、熱に変換されているものと想定される。 電流注入型グラフェンレーザー : Si/SiC/G(グラフェン)/DLC(ダイアモンドライクカーボン)のグラフェンヘテロ接合構造にデュアルゲートをスロットラインとして機能させる導波路構造に分布帰還型共振器構造を組み込んだレーザー共振器構造のプロセス開発を進めた。鍵になるのはテラヘルツ帯導波路として機能しうる厚膜絶縁体の堆積技術であるが、光電子制御CVD技術によるDLCの堆積条件の検討(多元物質科学研究所高桑雄二教授研究室の協力による)によって、10ミクロンオーダの堆積を実現できた[ISSP, PI-4, Kyoto, July 12,2013.]。さらに、トンネルバリアをグラフェンでサンドウィッチしたグラフェン二重層キャパシタを核とし、その外側両面にゲートスタックを配したグラフェンヘテロ構造体を考案し、印加バイアスで特定されたフォトンエネルギーの発光によってアシストする共鳴トンネル現象とグラフェンプラズモン共鳴とを協調させる二重共鳴型の電流注入によって従来のデュアルゲート方式に比して2桁以上の高い利得増強作用が得られることを理論的に明らかにした[Appl. Phys. Lett. 103, 163507 (2013) ; Opt. Express 21, 163507 (2013).]。 表面プラズモンポラリトン励起による巨大利得 : バンド間遷移に伴う反転分布・負性導電率で得られる利得が光吸収率 : 2.3%に制限されるのに対して、グラフェンプラズモンをテラヘルツフォトンと結合させることにより、3桁以上の高い利得が得られることを研究代表者らは理論的に発見している。この理論予測を独自の光ポンプ・近接場テラヘルツプローブ・光プローブ法によって、それぞれ実証することに他に先駆けて成功した[New J. Phys. 15, 075003 (2013).]。 ボトムアップ型グラフェン成長技術 : Si(110)基板上3C-SiC(111)薄膜の配向成長条件を解明し、その特性を活用した高速回転エビ成長法を開発した。グラフェンの欠陥密度40%低減化に成功した. [Mat. Sci. Forum, 740-742, 339 (2013) ; ibid. 327 (2013)]。
|