研究課題/領域番号 |
23000008
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
尾辻 泰一 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (40315172)
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研究分担者 |
末光 眞希 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (00134057)
末光 哲也 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (90447186)
佐藤 昭 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (70510410)
佐野 栄一 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 教授 (10333650)
マキシム リズイー 会津大学, コンピュータ理工学部, 准教授 (50254082)
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研究期間 (年度) |
2013 – 2015
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キーワード | グラフェン / テラヘルツ / レーザー / 電流注入 / プラズモン / ポラリトン / 誘導放出 / ボトムアップ |
研究実績の概要 |
1. ボトムアップ型グラフェン成長技術 : ナノスピン実験施設付属のスーパークリーンルーム(クラス<10)の清浄な雰囲気下でのSiC基板上グラフェン化反応の高次制御を試みた。その結果、C面SiC上のグラフェンのドメインサイズを、従来の数百nmから数十μmへと、二桁以上増大することに成功した。特筆すべき知見として、従来エピタキシャル成長しないとされてきたC面SiC上グラフェンが実はエピタキシャル成長し得ることを初めて明らかにした。得られたC面グラフェンは100,000cm2/Vs以上の高移動度を有することを、尾辻グループと共同で明らかにした。 2. 光学励起グラフェンレーザー : 光学励起グラフェンの反転分布実現を、従来と異なるフェムト秒時間分解・角度分解光電子分光(東大物性研との共同研究)で明らかにし、二重に検証した。実験結果は、増幅自然放出光強度の向上に留まった。共振器内損失を考慮した高精度モデルと実験結果との良好な対応より、グラフェン品質(運動量緩和時間(4 ps以上)とミラー反射率(99%以上)に対する誘導放出・レーザー発振実現の必要条件を定量的に明らかにした。今後のグラフェン高品質化でレーザー発振実現が大いに期待される。 3. 電流注入型グラフェンレーザー : 独自の分布帰還形デュアルゲートを有し、ゲート絶縁膜にプラズマCVD成長SiNを導入したグラフェンFETを試作した結果、真性チャネル領域における電子・正孔の電界効果移動度がいずれも従来データを1桁上回る100,000 cm2/Vs前後という極めて優れた電子輸送特性を実現した。本素子からのテラヘルツ帯放射をフーリエ遠赤外分光計で測定した結果、100Kの低温下ながら、キャリア反転分布が得られるバイアス条件下で、5.2 THzの単一モード発振に成功した。発振閾値特性より、本研究の最終目標として掲げた電流注入テラヘルツレーザー発振に初めて成功したものと推定できる。一方、さらなる量子効率向上が可能なゲートスタック付グラフェン二重層キャパシタ構造(GS-GDL)素子を試作し、フォトンアシスト共鳴トンネル現象に由来するテラヘルツ光放射を140Kの低温環境下ながら観測し、原理検証に成功した。本課題で掲げた最難関の目標を達成した。 4. 研究の総括 : グラフェンテラヘルツレーザー理論の体系化と設計論の構築を行った。 (連携研究者 : 吹留博一准教授・電気通信研究所、高桑雄二教授・多元物質科学研究所、吾郷浩樹准教授・九州大学先導物質化学研究所)
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