研究課題/領域番号 |
23000009
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
堂免 一成 東京大学, 工学系研究科, 教授 (10155624)
|
研究分担者 |
魚崎 浩平 物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス拠点, ナノグリーン分野コーディネータ (20133697)
山方 啓 豊田工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (60321915)
酒多 喜久 山口大学, 大学院理工学研究科, 准教授 (40211263)
|
研究期間 (年度) |
2011-05-31 – 2016-03-31
|
キーワード | 表面界面物性 / 光触媒 |
研究実績の概要 |
本研究では、水を水素と酸素に分解することによりこれまでにない高い効率で太陽エネルギーを化学エネルギーに変換する人工光合成型の微粒子光触媒システムの開発を最終目的とする。そのために、光励起・励起キャリア移動・表面反応過程の精密解析を行うとともに、新規な構造を有する光エネルギー変換システムの構築を目指している。 本年度は波長600 nm程度までの光を吸収可能なLaTiO2NやTa3N5、BaTaO2Nといった可視光応答型水分解光触媒を主たる対象として研究を実施した。フラックス法や錯体重合法等を用いた各種調製法や調製条件の検討を行い、組成の制御ともに、粒径や形態、結晶性の制御を図った。さらに、光触媒本体の改良に加えて、異方性修飾をはじめ、種々の表面修飾を検討することによって、水分解活性の向上および安定性の向上検討を行った。表面修飾を工夫することによって、波長約600 nmまでの光を利用可能な光触媒系において、これまで未達成であった水の完全分解が進行することを見出した。これは単独の光触媒を用いた水分解系において、もっとも長波長の光を利用可能な系である。また、キャリアダイナミクス評価やin-situ評価等も並行して実施し、結晶欠陥と光励起キャリア寿命、自由電子数、トラップキャリア数、再結合速度等に関する知見が得られ、光触媒開発ヘフィードバックを行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題はおおむね順調に進捗している。光触媒粒子自体の改良に加え、種々の表面修飾の検討によって、波長600nmの光を利用可能な光触媒において、これまで未達成であった水の完全分解の達成に至った。さらにキャリアダイナミクス評価やin-situ分光評価等からも重要な知見が得られており、さらなる開発指針が得られている。
|
今後の研究の推進方策 |
光触媒の粒径や結晶性、形態の制御を目指すとともに、異方的修飾や水素生成サイトと酸素生成サイトとの分離構築、助触媒との良質界面設計などに取り組み、光触媒活性のさらなる向上を目指す。また、研究分担者らによるキャリアダイナミクス評価、in-situ評価や超高活性酸化物系光触媒などによる知見を活かして、光触媒開発、助触媒開発、界面設計、表面修飾といった材料開発を、当初の研究計画に則って実施する。
|