研究課題/領域番号 |
23220006
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
友永 雅己 京都大学, 霊長類研究所, 准教授 (70237139)
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研究分担者 |
森阪 匡通 東海大学, 付置研究所, 講師 (00422923)
伊村 知子 新潟国際情報大学, 情報文化学部, 講師 (00552423)
中原 史生 常磐大学, 公私立大学の部局等, 教授 (10326811)
林 美里 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (50444493)
田中 正之 京都大学, 学内共同利用施設等, 教授 (80280775)
足立 幾磨 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (80543214)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 比較認知科学 / 身体的制約 / 系統発生的制約 / 物理環境の認識 / 社会環境の認識 / 大型類人猿 / 鯨類 |
研究実績の概要 |
大型類人猿と鯨類を対象に、こころの進化における系統発生的制約と環境適応の問題について検討してきた。 物理的世界の知覚・認識・理解における身体的制約については、昨年度に引き続き、ハンドウイルカを対象に空間認識における自己の身体と環境の座標系との関係について検討を進めてきた。特に、身体の左右と左右の目(左右の大脳半球)の関連に関する実験などを行った。また、ハンドウイルカの基礎的な視知覚過程に関する予備実験を開始するとともに、これまで開発してきたイルカ用音響タッチパネルを用いた予備訓練も開始した。チンパンジーでは、事物の個数をや面積を把握する際の処理方略、特に情報の平均化に関する実験をヒトと比較する形で進めた。また、陸上環境に適応した異なる系統群として、ウマに着目し、彼らの視覚認識と視野の関係などを検討するため、ウマ用のタッチパネルを導入し、訓練を実施した。 社会的世界の知覚・認識・理解における制約の相互作用については、チンパンジーやハンドウイルカにおける身体動作の同調に関する実験的分析をさらに進めた。また、チンパンジーやオランウータン、さらにはハンドウイルカにおける向社会行動や協力行動のの実験的分析を進めた。また、チンパンジーを対象に、顔などの社会的刺激の認知に関して比較認知実験を継続的に進めた。 これら飼育下での研究と並行して、野生下および半野生下のチンパンジー、オランウータン、ミナミハンドウイルカ、シャチなどを対象とした社会行動、コミュニケーション、行動発達に関する観察調査を実施た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに整備した研究環境をもとに、着実に成果をあげつつある。また、その多くは論文公表という形で結実しているが、今後さらに積極的に論文公表を進めていきたい。高知県立のいち動物公園、名古屋港水族館、九十九島水族館、かごしま水族館、京都水族館、須磨海浜水族園、などの研究拠点に加えて、今年度は南知多ビーチランド、とべ動物園、かみね動物園などにおいても共同研究を開始した。また、現在、アウトリーチ活動の一環として名古屋港水族館において研究成果をわかりやすく展示する企画を進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、上記の園館との協力体制をさらに強固にし、研究を推進していきたい。また、次年度は最終年度でもあるので、それぞれの研究を完結させるべく努力するとともに、今後につながる展開についても併せて検討する。成果の取りまとめを推進し、シンポジウムの開催やアウトリーチ活動、また、成果の社会的還元としての出版についても検討を進めたい。
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