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2014 年度 実績報告書

神経伝達物質放出の修飾機構解明のための分子生理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23220008
研究機関東京大学

研究代表者

真鍋 俊也  東京大学, 医科学研究所, 教授 (70251212)

研究期間 (年度) 2011-04-01 – 2016-03-31
キーワード神経科学 / 生理学 / 生体分子 / 脳・神経 / 遺伝子 / シナプス / 可塑性 / 海馬
研究実績の概要

①CASTを欠損するノックアウトマウスを用いて伝達物質放出機構を検討した。(1)海馬CA1領域における興奮性シナプス伝達の入出力関係において伝達効率が野生型より高かった。(2)微小興奮性シナプス後電流の振幅が野生型より増大していた。(3)伝達物質の放出確率が低下していた。(4)シナプス間隙におけるグルタミン酸濃度が高いことがわかった。(5)5Hzの持続低頻度刺激後にみられるシナプス抑制が有意に大きかった。(6)Rab6が関与することを生化学的に明らかにした。(7)海馬CA3領域苔状線維シナプスでの可塑性の異常の可能性を見出した。
②ミトコンドリアのカルシウム放出機構に関与する分子が海馬CA1シナプスの前終末でのみ欠損するマウスの作製に成功した。この変異マウスの海馬スライスでは、5Hz刺激後にみられるシナプス抑制に異常がある傾向がみられた。
③海馬特異的にカルシウム放出調節機能分子が欠損する変異マウスの作製に成功した。これらの変異マウスを用いて、海馬における役割を電気生理学的に解析した。まだ例数は十分ではないものの、コンディショナルノックアウトマウスにおいて、LTPの減弱傾向とオープンフィールドテストでの多動がみられた。
④CaMKIIalphaの酵素活性のみが消失しているノックインマウスにおいて、シナプス前性の短期可塑性であるテタヌス後増強が、特殊な条件下では野生型に比べて大きく増大していることを見出した。
⑤SNARE蛋白分子の遺伝子改変マウスの海馬CA1領域において、入出力関係が大きく減少していることがわかった。それと合致し、2発刺激促通が大きく増大し、伝達物質の放出確率の低下が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

実験計画は、一部に遅れが多少みられるものの、順調に進捗している。最終年度に予定していた実験をすでに開始しており、ある程度データが出ていることから、全体としては、少なくとも予定通りの成果は得られるものと予想するが、場合によっては、予想以上の成果も見込まれる。実際、当初の研究計画にはない関連実験項目もすでに進めており、そのいずれにおいても論文発表済みあるいは論文投稿準備中である。

今後の研究の推進方策

最終年度も、これまでの研究を計画通りに進めるとともに、本研究計画に密接に関連した別の遺伝子改変マウスについても詳しい解析を進め、本研究の最終的な目的である神経伝達物質放出の修飾機構の詳細を明らかにする。ほとんどの項目で、すでに、かなりデータが揃ってきているため、論文発表を行って、情報発信を進める。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2014 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 図書 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Lemur kinase 3 deficiency causes pronounced locomotor hyperactivity and impairs endocytic trafficking2014

    • 著者名/発表者名
      Inoue, T., Hoshina, N., Nakazawa, T., Kiyama, Y., Kobayashi, S., Abe, T., Yamamoto, T., Manabe, T. and Yamamoto, T.
    • 雑誌名

      Journal of Neuroscience

      巻: 34 ページ: 5927-5937

    • DOI

      10.1523/JNEUROSCI.1621-13.2014

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] The glutamate receptor GluN2 subunit regulates synaptic trafficking of AMPA receptors in the neonatal mouse brain2014

    • 著者名/発表者名
      Hamada, S., Ogawa, I., Yamasaki, M., Kiyama, Y., Watabe, A. M., Kassai, H., Nakano, K., Aiba, A., Watanabe, M. and Manabe, T.
    • 雑誌名

      European Journal of Neuroscience

      巻: 40 ページ: 3136-3146.

    • DOI

      10.1111/ejn.12682

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [図書] ギャノング生理学(第24版)2014

    • 著者名/発表者名
      真鍋俊也
    • 総ページ数
      860
    • 出版者
      丸善
  • [図書] 標準生理学(第8版)2014

    • 著者名/発表者名
      真鍋俊也
    • 総ページ数
      1140
    • 出版者
      医学書院
  • [備考] 東京大学医科学研究所基礎医科学部門神経ネットワーク分野ホームページ

    • URL

      http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/NeuronalNetwork/Neuronal_Network/Index.html

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公開日: 2016-06-01  

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