研究課題/領域番号 |
23221001
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
近藤 豊 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20110752)
|
研究分担者 |
小池 真 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00225343)
高見 昭憲 独立行政法人国立環境研究所, アジア自然共生研究グループ, 室長 (00262030)
竹川 暢之 東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (00324369)
大島 長 気象庁気象研究所, 環境応用気象部, 研究官 (50590064)
新野 宏 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (90272525)
|
研究期間 (年度) |
2011-05-31 – 2015-03-31
|
キーワード | 気候変動 / 環境変動 / 環境分析 |
研究概要 |
1) 航空機観測の実施(A-FORCE-2013W) 平成24年の2-3月に東シナ海・黄海上空において(0-9 kmの高度領域)、BCの微物理特性(質量濃度・混合状態・粒径分布)、エアロゾルの粒径分布・数濃度、雲粒数、COの混合比について、高精度航空機観測(A-FORCE-2013W)を実施した。観測は鹿児島空港を拠点に合計13フライトを行い、様々な緯度・高度において非常に高濃度の汚染大気を測定することに成功した。現在はこれらの観測結果の解析を開始している。 2) 混合状態を表現したスキームの開発 エアロゾルの粒径とBC の混合状態を表現した2 次元ビンモデルを開発し、領域三次元気象化学結合モデルWRF-chem に導入した。このモデルを東アジア域の計算に適用した。計算は2009年のA-FORCE 航空機観測期間について行い、SP2によって観測されたBC の混合状態を再現した。このモデル計算結果を用い、BCの混合状態に対するエアロゾルの微物理過程(凝縮・凝集過程)の重要性やBCの混合状態の取り扱いに伴う大気加熱率の感度など、混合状態の光学・放射特性に対する影響を評価した。詳細な混合状態を考慮した場合に比べ、単一の混合状態を仮定した計算では大気境界層内の吸収係数や大気加熱率を30-40%程度過大推定することが明らかになった。 3) 放射伝達モデルの開発 BCの放射影響を精密に評価するためには、BCの形状や混合状態の放射場への影響も評価する必要がある。そのため、放射伝達モデルに入力するための消散係数・単散乱アルベド・散乱位相関数について、任意の混合状態と形状を持ったBCの光散乱・吸収断面積・散乱位相関数を計算することが可能なコードを離散双極子近似(Coupled Dipole Approximation: CDA)の理論に基づいて開発した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エアロゾルの混合状態を表現した領域3次元数値モデルを開発した。これまでに行ってきた地上・航空機観測によって検証を行い、BCの気候影響や温暖化対策を考える際に混合状態の取り扱いが非常に重要になることを示した。また、新たな放射伝達モデルの開発を行った。平成25年2~3月にエアロゾル・雲の航空機観測を黄海・東シナ海上空において実施し、様々な緯度・高度において高濃度汚染大気の測定に成功した。
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年6~7月にエアロゾル・雲の航空機観測を日本海・東シナ海を中心に実施する。また、沖縄・福江島でエアロゾル地上観測を継続して実施する。さらに、 数値モデル開発を継続して行うとともに、これまでに開発してきたモデルを、エアロゾル、放射、雲微物理の全ての要素について検証し、必要に応じて改良を行う。
|