研究課題
本研究は3つのサブプロジェクト(SP)、揚子江SP、東シナ海SP、水月湖SPから成り、完新世後期での東アジア夏季モンスーン(EASM)フロント位置変動、揚子江流出量変動と黒潮強度変動、偏西風経路及び西南日本降水量変動、の復元を目的とする。平成27年度の成果は以下の通りである。揚子江SP:下流域の砂洲で掘削されたYD-15では、ほとんどの試料に137Csが含まれず、214Pbも低濃度でかつ深度方向に単調減少を示さない事から、再堆積を繰り返した事が示唆された。一方、植物片の14C年代は300~700年前の年代を示したが、上位に向かって年代が古くなる傾向があり、これも再堆積の繰り返しを示唆した。コアの4層準で水位低下に伴う土壌化が示唆されたが、正確な年代が推定できない結果となった。河口沖100kmで掘削されたYD-13コアでは、過去2500年間について詳細な年代モデルを作成すると共に軟X線写真を元に洪水層を認定し、それが歴史文書等に残された洪水記録とよく合う事を示した。そして洪水層の頻度および供給源変動を推定し、EASMフロントが揚子江南西部に移動し始めた~2200年前と~700年前に洪水が頻発した事、その際に洪水発生域も南西部に移動したこと事が示された。東シナ海SP:過去7000年間の黒潮強度変動を復元した。また、東シナ海陸棚上のコアでは浮遊性有孔虫殻の酸素同位体比およびMg/Caを分析したが、有孔虫のクリーニングが不十分と判明し、再度クリーニングを行う事になった。水月湖SP:過去7000年に渡り、河川砕屑物とダストのフラックスを推定すると共に、洪水層の厚さ、頻度の時代変化を復元し、4500年前と1500年前に洪水の頻度が其々現在の4倍及び2倍に増大した事が明らかになった。2017年3月には分担者や協力者を集めてシンポジウムを開催し、プロジェクトの成果報告と取り纏めを行った。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 2件、 査読あり 11件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (30件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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http://www-sys.eps.s.u-tokyo.ac.jp/~tada/easm/