研究課題
化学物質の安全性評価において遺伝毒性試験は特に重要であり、より信頼性の高い遺伝毒性試験を開発することは極めて重要である。今回我々は、PacBio社の1分子リアルタイムDNAシーケンサー(SMRTシーケンサー)を用いた、極めて簡便な変異検出法を開発した。試料DNAから、SMRTBellテンプレートという環状のライブラリーを作成し、SMRTシーケンサーで1分子のDNAを繰り返し読むことで、シーケンスの正確度を高めた結果、バックグラウンドの突然変異が8Mbpに1個以下になり、真の突然変異と、ミスマッチ、DNA損傷の区別もできることが分かった。一方、小核試験も重要な遺伝毒性試験であるが、疑陽性が多いという問題点が指摘されている。我々は、DNA損傷応答に関わるプロテインキナーゼの阻害が、DNA損傷を介さない小核誘導に寄与していることを明らかにした。そして、このような作用を持つ化学物質をスクリーニングする方法を開発し、抗酸化剤として広く食品に含まれるプロピルガレットにDNA損傷応答阻害作用があることを見出した。また、研究分担者の井倉とともに、ヒストンH2AXのアセチル化およびリン酸化修飾をLC/MS/MSを用いて絶対定量する技術を開発し、細胞毎にこれら修飾の度合いが異なることを明らかした。この知見は、ストレス応答の多様性におけるエピジェネティク制御の重要性を提示している。分担者の足立は、クロマチン結合タンパク質を効率よく濃縮してプロテオーム解析する手法を開発した。同定タンパクには779個の DNA結合タンパク、377個のRNA結合タンパク、433個の転写因子、81個のクロマチンリモデリング因子が含まれており、これらの変動を測定することで、クロマチンレベルでの化学物質の影響を捉える解析基盤になりうることが示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 1件、 査読あり 12件、 謝辞記載あり 9件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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