グリーンギャップを埋める新しい緑色材料として、ウルツ鉱型構造を持つGaP系の混晶が注目されている。そこで完全なウルツ鉱構造が得られているInPナノワイヤ側面に結晶構造を転写させることによりウルツ鉱構造のAlGaPおよびウルツ鉱に転移しやすいInAlPシェル層を作製した。今年度はウルツ鉱構造のInP/AlInP量子井戸型コアマルチシェルナノワイヤを作製し、カソードルミネッセンスから、緑色―黄色領域の強い発光が得られた。さらに、ウルツ鉱GaP系の薄膜成長もウルツ鉱GaN基板を用いて試みた。その結果GaN(10-10)面上のAlInP成長においては、電子顕微鏡の格子像、電子線回折およびX線回折から、ウルツ鉱による反射が観測され、同様にカソードルミネッセンスから直接遷移によると思われる緑色領域での強い発光を得ている。 ナノワイヤ太陽電池に関してはさらに、InP/ITOのコアシェル型太陽電池を作製するとともに、ポリマー(PDMS)で一旦ナノワイヤを埋めた後剥離し、その後電極付けを行うことでフレキシブル太陽電池の作製を試みた。 ナノワイヤトランジスタに関しては、シリコン基板に変わる将来型のIII-Vのnチャネル/Geのpチャネルからなる複合型CMOSを目指してGe基板上にIII-V族(主にInAs)ナノワイヤの結晶成長技術を確立し、Ge基板上のInAsナノワイヤトランジスタの作製に成功した。
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