研究概要 |
本研究では、電流誘起スピンダイナミクスの物理を明らかにし、これを用いた新規スピンダイナミクスデバイスの動作実証を行うことを目的とする。 (1)電流誘起スピンダイナミクスの物理 電流誘起スピンダイナミクスを記述する拡張正andau-Lifshits-Gilbert方程式の中でデバイス性能を左右する重要なパラメーターは、緩和定数α、非断熱スピントランスファー定数βおよび電流のスピン分極率Pである。本研究では、これらを定量的に評価する手法を確立し、高効率スピントロニクスデバイス材料探索への展開を図る。 (2)新規スピンダイナミクスデバイスの動作実証 本研究では、さらに研究代表者らが発展させてきた磁気コアと磁壁の電流誘起スピンダイナミクスを利用した新規スピンダイナミクスデバイスである磁気コアメモリー、レーストラックメモリー、磁壁発振器の3種類のデバイスの動作実証を目指す。本年度の研究実績は以下である。 (1)電流誘起スピンダイナミクスの物理 電流印加下のスピン波の速度・振幅測定によって緩和定数α、非断熱スピントランスファー定数βおよび電流のス'ピン分極率Pを求める手法を実証した(Phys.Rev.Lett.108,017203(2012))。 (2)新規スピンダイナミクスデバイスの動作実証 ・トンネル磁気抵抗素子を付加したデバイスを用いて、電流誘起磁気コア反転(情報書き込みに対応)、および電気的磁気コア方向の検出(情報読み出しに対応)に成功した(Appl.Phys.Lett.99,262505(2011))。 ・レーストラックメモリーの基礎実験として、Co/Niにおける単一磁壁電流駆動を研究を行った。 ・磁壁発振器実現に不可欠なナノコンタクト構造作製手法を確立し、ナノコンタクトへの単一磁壁導入を確認した。
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