研究課題
基盤研究(S)
本研究の中心課題のひとつである、すばる望遠鏡HDSの多天体同時観測を可能にする装置搭載にむけて、ファイバーを利用した光学系と搭載・制御方法の詳細検討を行い、2012年度の最終設計と製作にむけた準備を完了した。すばる望遠鏡HDSによる銀河系ハロー天体の観測データの解析を完了し、報告論文の準備を進めた。追観測の計画を作成し、観測時間の申請を行っている。金属欠乏星のデータベースの拡充を進めるとともに、これに集積された金属欠乏星の組成の分析を通して、銀河系ハローの恒星に刻まれた元素の分布の詳細な解析を行った。これを通して、銀河系の初期化学進化の特性、とりわけ、初期質量関数の変遷過程についての制約を導いた。本研究の理論的な課題のひとつである超新星爆発については、多次元流体元素合成計算コードの調整およびテスト計算を行い、超新星爆発における元素合成をパラメータ化する際にジェット状爆発、楕円状爆発の二種類のモデルを用いることが最適であることを明らかにした。また、大質量星を起源とするガンマ線バーストに付随する相対論的ジェットの長期にわたる進化でこれまで考えられていなかった段階があることを指摘し、その半解析解を提示した。炭素爆燃型超新星における核燃焼波の伝播速度が白色矮星中心付近で磁場によって数分の1になることを示した。ダスト形成の解明については、Ia型超新星でのダスト形成・進化計算を行い、Ia型超新星はダストの主要な供給源でないことを明らかにした。また、炭素過多AGB星でのダスト形成モデルを構築し、形成されるSiCダストのサイズ分布を明らかにした。一方、超新星でのダスト形成・進化モデルで得られた破壊効率、サイズ分布の進化とダスト表面上での水素分子形成を採り入れた銀河形成進化モデルを構築し、ダストのサイズ分布が星形成率および初期宇宙の銀河進化に多大な影響を与えることを示した。
2: おおむね順調に進展している
観測装置の開発やデータベース構築をはじめ、初年度の目標はおおむね達成され、次年度の研究にむけた準備も整っている。
研究計画に特に変更はない。それぞれの研究課題については順調に進んでいるので、研究分担者・連携研究者間の連携を深めることにこれまで以上に力を入れる。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (24件) (うち査読あり 24件) 学会発表 (17件)
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