研究課題/領域番号 |
23224007
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山中 卓 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20243157)
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研究分担者 |
小松原 健 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (30242168)
南條 創 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40419445)
田島 靖久 山形大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (50311577)
松村 徹 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, その他部局等, 講師 (00545957)
鈴木 史郎 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), その他 (50089851)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 素粒子実験 / K中間子 / CP対称性の破れ |
研究実績の概要 |
2013年5月に100時間収集したデータの解析を進め、2014年9月にウィーンで開かれたCKM2014の国際会議で、解析結果を発表した。わずか4日間のデータであるが、過去に約12ヶ月かけて収集したKEK E391a実験とほぼ同じ感度を得た。シグナル領域内に1事象観測し、これはビームの外側に漏れてきた中性子がCsI電磁カロリメータに当たって、2個のエネルギーの塊を電磁カロリメータに作ったものらしい。この種の背景事象を抑制する解析方法を開発している。 直径2m、長さ3mの円筒形の新たなガンマ線検出器(Inner Barrel)を製作する。6トンの総重量を支える様々な方法を検討した結果、ジュラルミン合金のリングを8個製造し、その内側に32個のモジュールを取り付けることに決定し、鍛造のリングを製造した。リングの精密加工費を、次年度に繰り越した。 中性ビームの中の荷電粒子を検出するために、ガス中に高電圧のワイヤーを張ったチェンバーを製作した。これは物質量が小さいため中性子の反応が少なく、高速のガスを用いたため、高い中性子のレートのビーム中でも荷電粒子に対して高い検出効率を持つ。 KL中間子からpi+pi-pi0に崩壊するモードによる背景事象を約2桁抑制するため、下流のビームパイプを覆う荷電粒子検出期を製作・設置した。 高いレートでも安定してデータを収集できるように、PCファームを新しくし、それらを結ぶネットワークをInfinibandという高速のものに置き換えた。また、2013年の2倍のビーム強度に耐えるよう、前段でデータを圧縮するようにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2013年5月にあったハドロンホールの事故に対する対策工事のため、ビームを出せず、今年度はデータ収集ができていない。しかし、データ解析を進めて今までの世界最高感度の実験とほぼ同じ感度を得たこと、中性子起源の背景事象を発見してその対策を取れるようになったことは、進歩であった。
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今後の研究の推進方策 |
2015年4月にはビームタイムが再開し、ビーム強度も順次上がっていく予定である。従って、高いレートでも効率よくデータを収集できるようにデータ収集システムを改良し、データを貯める。また、Inner Barrelガンマ線検出器の製作を進め、2016年度のビームタイムまでには実験装置本体に組込む。 また、2013年のデータ解析結果を論文にまとめる。
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