研究課題
波動粒子相互作用解析装置(SWPIA)を開発し、世界初となるプラズマ波動―粒子間相互作用の直接計測実現を目的とする。特にERG衛星の探査領域である内部磁気圏での波動粒子相互作用観測に最適化されたS-WPIAの開発に向けて、「SWPIA計測部」の入力となる高周波受信機と粒子パルスデータ変換・転送回路の研究開発、ならびに、内部磁気圏グローバルモデルと波動粒子相互作用素過程モデルを組み合わせた「SWPIAシミュレータ」による SWPIA解析アルゴリズム開発を行い、内部磁気圏でのSWPIA計測技術を開発・検証・確立する。平成23年度の研究実績は以下の通りである。「SWPIA計測部」について、衛星システム組み込み状態でのSWPIAを動作させる上で必要となるハードウェアインターフェース等のデザインを行った。また、衛星に搭載されるCPUと同じデザインのCPUボードの試作を購入しSWPIAソフトウェアの開発環境を構築した。更に、SWPIAアルゴリズムの検証を行うためのスペースチェンバー実験手法について検討した。「SWPIAシミュレータ」については、設備備品費で計算機システムを導入し、モジュールA (グローバルモデル)の初期計算を開始した。実際の磁気嵐の状況におけるシミュレーション計算を行い、ホイッスラーモード波動の線形成長率の空間分布を導出した。モジュールB (素過程計算)では、モジュールAの計算結果を読み込んで初期速度分布を与えるインターフェースの開発を行った。また、SWPIAにより得られる計測量の統計的有意性を評価する方法を提案して、モジュールBによるコーラス放射発生過程の再現実験の中でSWPIA疑似計測を実施、その結果に対して提案した手法を適用する事により定量的に評価し、SWPIA計測結果の評価に活用できる事を示した。
2: おおむね順調に進展している
- 衛星と等価CPUによるSWPIA開発環境が構築された- ロケット実験による検証がJAXA側の理由により本計画内で実現ができなくなったが、チェンバー実験での検証手法を取り入れその準備を開始することができている。
-JAXAスペースチェンバー装置を利用し、電子ビームを打ち込むことによってプラズマ波動を励起し、SWPIAの動作原理やアルゴリズムを検証するための実験を行う。- 衛星と等価CPU上におけるSWPIAソフトウェアの開発を開始する。- モジュールAの計算結果を初期値とするモジュールBの計算に着手し、磁気嵐時にダイナミックに変化する内部磁気圏において、いつ・どこでコーラスの非線形発展が観測されるかをシミュレーションから導出する。また、その結果をふまえて、計算機上でS-WPIAの疑似観測を行う。
すべて 2012 2011 その他
すべて 学会発表 (12件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)
http://stpp.gp.tohoku.ac.jp/s-wpia/