研究課題/領域番号 |
23224013
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研究種目 |
基盤研究(S)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
吉田 尚弘 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (60174942)
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研究分担者 |
南部 伸孝 上智大学, 理工学部, 教授 (00249955)
山田 桂太 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教 (70323780)
豊田 栄 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 准教授 (30313357)
吉川 知里 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特任助教 (40435839)
DANIELACHE Sebastian 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 博士研究員 (00595754)
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キーワード | 地球環境物質 / アイソトポマー / 分別係数理論計算 / 数値モデリング / 分子内同位体分布 |
研究概要 |
本研究では、地球環境物質に着目したアイソトポマー計測法の確立および実試料への適用を行うとともに、アイソトポマー実測データ・理論計算によるアイソトポマー分別係数を用いた数値モデリングも行うことで、従来よりも高精度な地球環境物質の循環解析を行う。具体的な研究目的を以下の4点とし、並行して進めた。 1.重要な生体分子のアイソトポマー計測法の開発および環境試料・微生物試料への適用:重要な生体分子の1つであるアラニンに着目し、化学分解法および熱分解法を組み合わせた分子内炭素同位体比計測法を開発した。バイオマーカー分子として重要な長鎖n-アルカン(C6~C29)について、定量^<13>CNMR法を用いた分子内炭素同位体分布計測法を開発した。 2.温暖化関連物質のアイソトポマー計測法の大気試料への適用:N_2Oについては、マイクロ波放電でN_2Oを分解し、得られるO_2の同位体比測定を行うことによる三種酸素同位体比計測法を開発した。従来の方法と比べ少ない試料量でほぼ同等の精度で分析が可能となり、妨害成分の除去などの煩雑な分析操作も省略できるようになった。この方法をエアロゾル、雨水中の硝酸の酸素同位体比測定に適用した。硫黄化学種については、COSをフッ化してSF_6に変換する方法を検討し、反応が定量的に進行することを確認した。 3.アイソトポマー分別の理論計算・模擬実験:SOの光解離過程について電子状態問の非断熱遷移を考慮した量子緊密結合計算プログラムの開発と実施を行った。得られた同位体分別係数は,質量依存分別線からかけ離れた結果となった。 4.アイソトポマーモデルの構築と物質循環解析:海洋N_20アイソトポマーモデリングについては、既存の観測値をもとに試作モデルを構築した。硫酸エアロゾルアイソトポマーモデリングについては、既存の観測値と理論計算、室内模擬実験から得られた分別係数をもとにδ^<34>Sを予報できるモデルを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全体計画を具体的な4つの研究目的に分け、それぞれが各計画年度の目標を達成している。 1については、重要生体分子であるアラニンの分析法を構築できた。 2については、N20の3種酸素同位体比計測法の開発が順調に進展している。 3については、3原子系において非断熱現象を取り込むプログラムの開発とSO2分子のデータの準備ができた。 4については、海洋・大気ともに今年度予定していた段階のモデルを構築できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後も全体計画を4つに分け、それぞれを並行して進める。 1については、実際試料への適用を進める。 2については、測定法の開発を継続するととともに、大気試料への適用を始める。 3については、4原子分子以上の系における量子効果を取り入れた半古典動力学法の開発を実施する。 4については、今年度構築したモデルの改良・拡張を行う。 最終的にそれぞれを統合し、主要な地球温暖化関連物質の循環像の精緻化を行う。
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