研究課題/領域番号 |
23225002
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研究種目 |
基盤研究(S)
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
山本 尚 中部大学, 学長付, 教授 (20026298)
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キーワード | 選択的合成・反応 / 分子性触媒 |
研究概要 |
本研究の初年度は、従前のキラル・ブレンステッド酸触媒の反応性をさらに向上させた新規キラル・ブレンステッド酸触媒の創製と不斉触媒反応への応用を目的に、以下の研究を行った。 1.我々は、ビナフトールリン酸触媒(寺田-秋山)のリン酸の水酸基をNHTf_2に、また酸素原子を硫黄に置き換えることによって酸性度が著しく向上することを報告している。ここでは、リン酸の水酸基をパーフルオロジスルホンアミド基に置き換えることで、さらに高い酸性を得ることを目指す。合成したパーフルオロジスルホンアミドを導入することで、末端にスルホンアミド基を有するキラル・ブレンステッド酸やビス(チオ)リン酸イミド触媒を合成した。 2.我々が開発したスーパー・シリル基[(TMS)_3Si-]を用いる向山アルドール反応は、従前の多段階反応を必要とするポリケチド合成を一新した第2世代の向山アルドール反応であり、高いジアステレオ選択性と際立った合成工程短縮(ステップ・エコノミーの向上、ここでは10~15工程を1~2工程に短縮)を可能とした環境調和型のポリケチド合成プロセスであるが、不斉反応への展開は未だされていない。そこで、合成したキラル・ブレンステッド酸を評価する目的で検討を行ったところ、ビスリン酸イミド触媒を用いた場合に、低収率ではあるが、最高不斉収率90%で目的のアルドール付加体が得られることがわかった。今後さらなる条件検討の最適化を行うことで、収率を改善することが可能であると考えられる。また、アルドールカスケード反応へ展開することで、ポリケチドの環境調和型触媒的不斉合成が可能となり、医薬品化学・天然物合成において重要な中間体を効率良く提供する有益な反応になると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究員の受入が遅延したために、研究は若干遅れているが、上記の良好な結果が得られていることから順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
研究は順調に進展しているが、次年度以降さらなる発展を目指している。具体的には、 1.キラル酸触媒の設計 リン酸をベースにするが以前のような7員環を用いずに、8員環化合物を採用することでエナンチオ選択性と反応収率の両方を満足させるブレンステッド酸触媒を開発する。 2.分子内アルドールでアルデヒド合成を進行させ、分子内、分子間の交互アルドール合成に挑戦する。 3.リン酸型でなく、スクワリック酸触媒をベースにした複合酸触媒の開発に着手する。 4.固相に坦持した、不斉、スーパー酸触媒を開発する。
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