研究課題
有機スピン液体候補物質ET塩およびC60塩に焦点を絞り、新物質開発ならびに物性解明を推進した。Ag(I)やZn(II)錯陰イオンを用いて15種類以上の新規ET塩を開発した。多彩な電子状態(金属、電荷秩序など)の発現が、陰イオン構造と密接に関係していることを見出した。Ph3MeP陽イオンを用いて、-1価C60がジグザグ鎖ならびに層状ハニカム構造を形成する2種類の新規C60塩を開発した。後者において、C60分子のダイマー化に由来する磁気モーメントの消失が220Kで観測された。ETダイマーが等方的な三角格子(t'/t~1)を形成するスピン液体候補物質κ-(ET)2Ag2(CN)3の磁気トルク測定を行い、この塩がスピン液体的な挙動を示すことを確認した。磁気トルクの温度依存性は静帯磁率と単純にはスケールせず、DM相互作用などが関与していると考えられる。また、この塩の低温における振動スペクトル測定を行い、ダイマー内電荷自由度と電荷の振る舞いの関係について議論した。一次元的に歪んだ三角格子(t'/t>1)を有する量子スピン系κ-(ET)2B(CN)4塩において比熱の異常を約5Kで観測し、非磁性基底状態への相転移が二次転移であることを明らかにした。また、強磁場下での磁気トルク測定から磁場誘起相転移を見出した。同じくt'/t>1系κ-(ET)2CF3SO3において、常圧では230K以下で出現する2層構造が、圧力下では室温でも安定に存在することを示唆する結果を得た。+1価ETがダイヤモンド構造を形成する(ET)Ag4(CN)5のラマン散乱測定を行い、陰イオン構造と電荷状態の関係について知見を得た。NMR測定からこの塩の反強磁性秩序スピン構造を決定した。圧力下で駆動するイオン液体ゲートトランジスタの開発に成功し、κ-(ET)2Ag2(CN)3において圧力下電場誘起金属-絶縁体転移を見出した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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