研究課題
高強度赤外光パラメトリックチャープパルス増幅光源の高出力化を行い、1.5mJのパルスエネルギーを得た。これによって、軟X線領域の高次高調波(光子エネルギー200~320eV付近)において約35倍のフォトンフラックス増大を観測した。炭素を含む薄膜サンプルの吸収分光を行い、約100秒の積算で炭素のσ結合およびπ結合に起因する吸収ピークを同定することが出来た。これにより、本研究で開発されたアト秒軟X線光源を用いて、超高速軟X線吸収分光が可能であることが示された。また、極紫外域においてアト秒ストリーク実験を行った結果、光子エネルギー100eV付近において時間幅263asのアト秒パルスが発生していることが示された。レーザー高調波の物性応用に関しては、物性研究者との協力の下で、グラフェンおよび鉄系超伝導の母物質等に対するフェムト秒角度分解光電子分光を実施し、多くの知見を得た。レーザー光源開発に関しては、赤外二波長を同時増幅する手法を実証し、その出力の差周波をとることによって位相安定な高強度中赤外パルス(波長8μm)の発生に成功した。可視域の極短パルスをプローブ光とした電気光学サンプリングによって中赤外パルスの電場波形の直接観測を実現した。中赤外パルスの時間幅70fsであり、集光点での電場振幅は56MV/cmに達した。本光源を用いた実験によって、中赤外から可視までをカバーした固体での高次高調波発生など、強電場で駆動された電子系の新奇な非線形光学応答を観測した。また、高繰り返し動作可能なOPA光源を開発し、繰り返し20kHzでパルス幅9fsの位相安定な極短赤外パルスの発生とレーザー誘起光電子散乱の観測に成功した。高強度赤外極短パルスの利用研究に関しては、前年度に引き続いてレーザー誘起光電子散乱の実験を進めた結果、光電場の位相をパラメーターとした微分散乱断面積の新しい測定手法を確立した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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