研究概要 |
本研究では,詳細化学反応機構を考慮に入れた超並列GPUクラウドによる直接数値計算(DNS)及び高解像度時系列粒子画像速度計(PIV)とOHラジカル及びCHラジカルの高時間分解能平面レーザ誘起蛍光法(PLIF)等を組み合わせた多次元複合光学計測を用いて乱流予混合火炎の火炎面及び火炎内部の階層構造を明らかにし,実用的な燃焼器において観察される高圧力環境下の高レイノルズ数乱流火炎の構造解明とモデル化を目的としている.平成23年度は,数値的研究では,これまでに開発してきた等方性乱流中を伝播する水素・空気乱流予混合火炎及びV型乱流予混合火炎のDNSコードを超並列GPUに拡張し,高レイノルズ数条件でのDNSを大気圧下で行った.得られたDNS結果に,フラクタル解析を施すことにより,フラクタル次元やInner cutoff等の火炎面の階層的挙動を明らかにした.さらに火炎面の階層構造に関する結果をこれまでに開発したLESのSGS燃焼モデルに反映させ,モデルの高精度化を図った.実験的研究では,これまでの研究で開発してきた世界最先端の多次元複合レーザ計測技術を用いて,乱流予混合火炎の火炎面の階層構造とその動的特性を検討した.研究代表者らによって開発された火炎面の三次元計測と流体速度3成分,速度勾配9成分の同時計測が可能な二平面CH PLIF,一平面OH PLIF及び波長型二平面ステレオPIV同時計測法に,OH PLIFを追加することで四平面PLIF計測を実現した.メタン・空気乱流噴流予混合火炎における実験結果から火炎面の三次元構造を明らかにした.さらに,これまでの研究で開発してきたダブルパルスCH PLIFにOH PLIF及び波長型二平面ステレオPIVを組み合わせることで,局所燃焼速度の直接計測法を開発した.開発した計測法を乱流噴流火炎に適用し,火炎面の動的特性及び局所燃焼速度を検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,数値的研究及び実験的研究ともに新たな研究手法を確立することができた.統計的な解析結果を得るには,数値的研究ではより長い計算時間を,実験的研究ではより多くの計測結果を要するが,現在順調に遂行されている.
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