研究課題/領域番号 |
23226010
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
庄子 習一 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00171017)
|
研究分担者 |
竹山 春子 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (60262234)
水野 潤 早稲田大学, 付置研究所, 准教授 (60386737)
関口 哲志 早稲田大学, 付置研究所, 准教授 (70424819)
|
研究期間 (年度) |
2011-05-31 – 2016-03-31
|
キーワード | 計測工学 / 計測システム / MEMS / マイクロ化学システム / マイクロファブリケーション / 細胞構造・機能 / 細胞分化 / 生体高分子構造・機能 |
研究概要 |
1.研究の目的 微小発光サンプルの光学的超高感度定量計測を可能とすべく、on demand型の光学的補助機能を組み込んだマイクロ流体デバイスを開発する。具体的にはマイクロ流体内超高感度光学観察場のon demand構築技術及びそれをサポートする周辺技術の構築、並びに超高感度光学的定量計測に適した微小サンプル前処理技術を開発する。H24年度は研究グループが築き上げてきた要素技術の改良を行い、システム化への基盤を築くことを目的とする。 2.研究実績の概要 1)「マイクロレンズ・マイクロガラスピラー・超フラットガラス平面等の光学部品の作製とフロー制御による固定化」(庄子・水野・関口)マイクロ流体デバイスを用いたMicro Glass Lensの作製に注力した。この結果、様々なN/AをもつMicro Glass Lensの作製に成功した。2)「微小サンプル前処理用マイクロ流体デバイスの開発」(庄子・竹山・関口)マイクロ流体デバイスを用いて作製したGEL Micro droplet(GMD) に一つずつ大腸菌を入れ、培養・観察を行う技術の確立に成功した。また、パッシブソーティングを用いたドロップレットの流し分けに成功し、外力を用いない柔らかなサンプルの分別に道を開いた。更にドロップレットの自由な分割と融合を実現するデバイスの開発にも成功した。3)「材料の表面処理と直接接合に関する検討」(庄子・水野)マイクロ流体デバイスのパッケージングへの応用のため、基板材料の表面処理技術および同種/異種基板同士の直接接合技術を確立した。 研究の進捗に伴い、下記の者を連携研究者として向かい入れ、さらなる展開をはかった。 【連携研究者】1、早稲田大学 モリ テツシ(細胞関連)、尹 棟鉉(ドロップレット関連)2、埼玉大学 鈴木美穂、福田 武司(バイオプローブ関連)3,帝京平成大学 枝川義邦(薬理関連)
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H24年度は、既に研究グループが築き上げてきた要素技術の改良を行い、システム化への基盤を築くことを目的とした。Micro Glass Lens作製の自由な制御や、GEL Micro droplet中での大腸菌の培養等、この目標はおおむね達成することができた。また、微小サンプル前処理技術として、マイクロドロップレットの作製・分割・融合とそのカプセル化に成功し、これらの技術の今後のシステム展開への展望を開いた。更に前処理技術の一貫として、ナノ粒子の細胞内への導入の検討を開始し、新たな光学的高感度計測への道を開いた。マイクロ流体デバイスのパッケージング・システム化に不可欠な、直接接合技術、インプリント技術に関しても順調に技術構築が進んでいる。しかし、個々の要素技術はほぼ確立したが、それぞれの要素技術を組み合わせシステム化を行うと、想定の動作をしない例が多々見られ、システム化のハードルが高いことを改めて認識した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、現在までに築きあげた要素技術を計測ターゲットに応じて応用展開・システム化を行い、その際に抽出される問題点を要素技術にフィードバックして、より実際的な光学的高感度計測システムを築きあげていく。システム化に関しては、基板間の直接接合技術やマイクロ流体デバイス作製のためのインプリント技術等のグリーンデバイス技術を積極的に応用していく。また、新規研究要素として、微小サンプル前処理技術に関してはナノ粒子を事前に細胞等に導入し、光学的観察をより容易かつ高感度にする研究を展開する。更にマイクロ流体内超高感度光学観察場のon demand構築技術に関しては、微小信号のデバイス内での増幅だけでなく、バックグラウンドノイズの低減にも力を入れていく。要素技術の応用展開・システム化に関しては、連携研究者と密接に協力し、様々な分野でのニーズを積極的に取り入れていく。最終的には、マイクロ流体内超高感度光学観察場のon demand構築技術及びそれをサポートする周辺技術の構築、並びに超高感度光学的定量計測に適した微小サンプル前処理技術の開発に加えて、下記の項目が実現できるよう研究を推進していく。 1)マイクロ流体デバイスの応用により、細菌・細胞や組織の培養と三次元構造への形成に応用領域を広げていく。 2)単一機能の要素デバイスをシステム化した場合の等価回路的な考え方とその汎用性の確立。(電子部品をはんだ付けするとシステムができていくように、はんだ付けに相当するノウハウを確立する。) 3)「ナノ流体システム工学」という新しい学理の構築を視野にいれて、新たな物理・化学現象の把握と理解に努める。
|