研究課題
本事業最終年度として、燃料電池電極触媒の高活性化と燃料電池セルでの高性能化に注力した。酸化物担体をより均一に導電補助材上にコートするために、マイクロ波加熱を用いた均一沈殿法を開発し、更に熱処理条件を最適化することで、質量活性が200A/g-Ptを超える電極触媒の開発に成功した。起動停止サイクルと負荷変動サイクルの印加試験でも、高い耐久性を示すことができた。さらに、同様な電極触媒を用いた燃料電池セルを作製し、導電補助材の種類とアイオノマー添加割合を最適化した。その結果、電流密度200mA/cm2のセル電圧で標準触媒(Pt/C)に匹敵する性能を得ることができた。これらの結果より、高耐久性と高性能を両立する新規電極触媒の開発に成功したと言える。高耐久性の発現理由として、白金触媒と酸化物担体との結合エネルギーが強いために触媒と担体の相互作用が強いことが、高分解能電子顕微鏡観察等で明らかになった。これらの成果は、Nature系学術誌であるScientific Reports(計2報)に掲載されるなど高く評価された。酸化スズの代わりに耐還元性にも優れる酸化チタンを用いた電極触媒も開発し、導電補助材を用いることである程度の活性が得られることを示すことができた。また、炭素系担体との比較研究を進める中で、炭素材料上へのPBI被覆が劣化防止に有用であることも分かった。本事業で開発した手法を水電解用電極触媒調製に応用し、粒子径が1~数nmの画期的なイリジウム触媒を調製担持することができた。さらに、電極触媒の用途開拓として、水素センサーシステムを試作することができた。これらの電極触媒を用いるデバイス・システム研究においては、集束イオンビーム加工観察法やインピーダンス測定法が定量的解析に優れることを示すことができた。このように、固体高分子形燃料電池の電極触媒設計指針を構築することができた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Scientific Reports
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http://www.mech.kyushu-u.ac.jp/~hup/