研究課題/領域番号 |
23226016
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研究種目 |
基盤研究(S)
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
松永 是 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 学長 (10134834)
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研究分担者 |
新垣 篤史 国立大学法人東京農工大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (10367154)
吉野 知子 国立大学法人東京農工大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (30409750)
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キーワード | 応用微生物 / ゲノム / 組織・細胞 / 生体機能利用 / バイオテクノロジー |
研究概要 |
磁性細菌が持つマグネトソームと呼ばれる磁気微粒子合成オルガネラは、約100kbpの遺伝子領域の水平伝播によって獲得されたものであることが明らかになってきた。そこで磁性細菌のマグネトソームの機能と構造を理解し利用するために、平成23年度はこの約100kbpの遺伝子領域に存在する遺伝子から発現するタンパク質について、詳細な機能を明らかにすることを目的として研究を行った。まず磁気微粒子の形態制御に関与が期待される遺伝子(mms5,mms6,mms7)を相同性組み換え法によって多重遺伝子欠損株を作製した。得られた株が生成する磁気微粒子について高分解能透過型電子顕微鏡による形態観察から、それぞれのタンパク質の結晶構造制御機構が明らかとなった。また磁性細菌AMB-1株の形態制御mms6遺伝子を異なる磁性細菌RS-l株に導入する事に成功し、現在解析を進めている。異種磁性細菌間での遺伝子発現は世界で初めての試みであり、生物学的な研究意義に加え、得られる磁気微粒子の形態を自在に制御できる可能性があることから、次年度以降大変重要な成果が得られるものと期待される。またMms13やMamYなどのモデルタンパク質を用いて、タンパク質の網羅的な局在解析にむけた条件選定を進めている。その結果それぞれのタンパク質の局在性が劇的に変動する事が明らかとなってきた。また磁性細菌のマグネトソーム合成能に重要な約100kbpの遺伝子領域を光合成微生物などに導入するため、この遺伝子領域のクローニングを進めている。これまでに遺伝子領域とベクターの連結反応を連続的に行うことにより、現在までに30kbp程度の領域のクローニングに成功している。以上の本年度の結果より、磁性細菌によるマグネトソーム合成の機能と構造の理解が進み、また新たな磁気微粒子合成微生物の構築に向けた技術基盤の確立に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
磁性細菌が生成する磁気微粒子合成オルガネラ、マグネトソームの機能・構造解析共に、研究は計画通り順調に進展している。また次年度以降の研究に必要な解析技術、遺伝子の再構築技術などをすでに取得できたことから、当初の計画以上に研究が進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度は概ね申請書の研究計画通り、部分的には計画を前倒して研究を推進し、今後の研究に必須ないくつかの基盤技術を確立する事に成功した。本研究分野は競争が非常に激しいことから、平成24年度以降は、すでに研究に進展が見られた箇所にさらに注力し、インパクトの強い研究成果を確実に挙げるように、研究計画の年次変更等は随時柔軟に行う。現在のところ目立った問題点は無いが、当該分野の技術的な進歩が世界的に目覚ましいことから、国内外の学会等に積極的に参加し、より迅速かつ効率的に情報収集を行う予定である。
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