研究課題/領域番号 |
23226017
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
加藤 直三 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00138637)
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研究分担者 |
鈴木 博善 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00252601)
坂上 憲光 東海大学, 海洋学部, 准教授 (20373102)
田中 敏成 独立行政法人港湾空港技術研究所, その他部局等, その他 (40344311)
高木 洋平 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (40435772)
千賀 英敬 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60432522)
伴 貴彦 大阪大学, 基礎工学研究科, 講師 (60454485)
吉江 宗生 独立行政法人港湾空港技術研究所, その他部局等, その他 (80359231)
岡野 泰則 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (90204007)
小林 英一 神戸大学, 海事科学研究科(研究院), 教授 (90346289)
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研究期間 (年度) |
2011-05-31 – 2016-03-31
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キーワード | 重油やガスのプルーム / 海中ロボット / 自動追跡 / 拡散シミュレーション / 海面浮遊式浮流重油自動追跡ブイロボット / 海洋実験 / 大気―海洋モデル / データ同化 |
研究概要 |
1)1)深海から噴出する重油やガスのプルームの自動追跡を行う海中ロボット技術に関して、平成24 年度に完成した海底からの重油やガスのプルームの自動追跡を行う海中ロボットを用いて,港湾空港技術研究所において性能試験を行い、その後、駿河湾において、水深1000mの海域にて潜航実験を行った。さらに、アメリカ・メキシコ湾において、2000年の油・ガス噴出地点の近辺において、油・ガスのプルームの探査を行う実験を行い、有用なデータを得ることができた。 2) 海底から海面までの三次元空間の重油プルームの自動追跡を行う海中ロボットからのデータを用いた深海からの油とガスの噴出に関する熱化学的反応を含む拡散シミュレーション技術に関して、新潟沖の海底からメタンガスが噴出している付近の海洋調査に関係して、その海域のガスの拡散状況のシミュレーションを実施し、これまでの実験結果を十分に説明できる結果を得た。 3) 海面に漂流する重油塊の自動追跡を行う浮遊式ブイロボット技術に関して、海面浮遊式浮流重油自動追跡ブイロボットSOTAB-II の製作を行った。これに油検知センサーを搭載し、船舶海洋試験水槽において、波浪中での疑似油を使った油検知の性能試験を実施し、油検知性能を確認した。また油検知センサーを搭載したSOTAB-IIの浮流重油自動追跡制御アルゴリズムを構築した。 4) 浮遊式浮流重油自動追跡ブイロボットからのデータを用いた浮流重油漂流シミュレーション技術の開発と評価に関して、これまでに開発した重油の蒸発・分解・拡散などの過程を考慮した大気―海洋モデルをベースに、沿岸の影響を考慮したモデルの更新を行い、日本海で起きた重油流出事故の漂流シミュレーションを行い、油の漂流の評価を行った。また複数のSOTAB-IIを用いた場合のデータ同化の効果について評価を行い、複数のSOTAB-IIからのデータが油の漂流の予測精度を向上させることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サブテーマ1の海底からの重油やガスのプルームの自動追跡を行う海中ロボットに関する研究では、設計・製作した毎中ロボットを3回の国内での海洋実験を実施し、さらにアメリカ・メキシコ湾にても、気象条件が悪い中、海洋実験を行い、潮流の鉛直プロファイルや海洋物理量(水温、塩分濃度)、水中質量分析計による水分析のデータの取得に成功した。サブテーマ2の深海からの油とガスの噴出に関する熱化学的反応を含む拡散シミュレーションに関する研究では、シミュレーション技術を新たに開発し,メキシコ湾で起きた深海での油噴出事故に関して,海底付近における物理環境を求めるためのメキシコ湾における海洋モデルを開発し,これまでに公開されているデータと比較し,評価した。また新潟沖のメタンガス湧出にシミュレーションを実施し,実験データと比較・評価した。 サブテーマ3の海面浮遊式浮流重油自動追跡ブイロボットに関する研究では、帆の面積と方向だけで海面を浮流する疑似油を自動追跡する円筒形のブイを製作し,海上で実験を行い,評価した。その後、油検知センサーを取り付けた新たな浮流重油自動追跡ブイロボットの設計・製作を行い,制御設計を行った。 サブテーマ4の浮流重油漂流シミュレーションに関する研究では、これまでに開発した重油の蒸発・分解・拡散などの過程を考慮した大気―海洋モデルをベースに,沿岸の影響を考慮したモデルの更新を行い,日本海で起きた重油流出事故の漂流シミュレーションを行い,各県間の重油の回収比に関して評価を行った。さらに、データ同化手法を取り入れ,SOTAB-IIからの仮想環境データや周囲の観測データの利用によって,日本海で起きた重油流出事故時の各県間の重油の回収比の評価を行った。
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今後の研究の推進方策 |
サブテーマ1に関して、平成26年度は、a. 大阪湾内にて、海中ロボットの基本性能の確認試験を実施する、b. 富山湾の水深 1,000 mの海域で、自律式の潜航試験を実施する、c. 新潟沖のメタンガス湧出地点における海中ロボットによる海中調査を実施する予定である。平成27年度度は、富山湾の水深 1,000 mの海域で、自律式の潜航試験を実施する予定である。 サブテーマ2に関して、平成26年度と平成27年度は、a. 上記c の実験で得られた海洋情報をもとに、メタンガスの湧出現象のシミュレーションを行い、観測値との比較を行う、b. これまでのモデルから,支配方程式を直接,数値的に解く手法の検討を進める、そのなかで,油の分散剤の効果に関しても検討する。 サブテーマ3に関して、平成26年度と平成27年度は、 製作された新SOTAB-IIを用い,油回収実海域再現水槽や海上での実験を行い,性能の評価を行う。そこでは,疑似油として,水表面で風の約3%の速度で漂流し,また油検知センサーで識別ができるネオプレンゴムに白い布を貼ったものを用いる。 サブテーマ4に関して、平成26年度は、a. 製作された新SOTAB-IIの海上実験においては,旧型のSOTAB-IIも用い,2台からの情報をもとに,データ同化手法を取り入れた浮流重油漂流シミュレーションを動かし,その有効性について評価する、b.構築されたSOTAB-IIからの環境データデータを取り込んだ同化手法の運用法について、石油生産施設からの油流出事故の対応に多くの経験とノウハウを有するノルウェーやアメリカとの交流を図り,その展開を図る。具体的には,地理情報システムとデータ同化手法を融合したシステムを構築する。平成27年度は、地理情報システムとデータ同化手法を融合したシステムを構築する。
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