研究課題/領域番号 |
23226018
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研究種目 |
基盤研究(S)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鬼柳 善明 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (80002202)
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研究分担者 |
古坂 道弘 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (60156966)
宇野 彰二 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (70183019)
篠原 武尚 日本原子力研究開発機構, J-PARCセンター, 研究員 (90425629)
持木 幸一 東京都市大学, 工学部, 教授 (80107549)
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キーワード | 放射線 / イメージング / 材料組織構造評価 / 磁場イメージング / 中性子 / 画像検出器 |
研究概要 |
ブラッグエッジ透過スペクトル解析コード「RITS」を、230種類の結晶構造空間群すべてに対応するために、空間対称性を利用して、1つの分率座標から結晶格子中に存在するすべての原子位置を求める新しいコンポーネントを導入した。日本刀について実験を行い、結晶組織構造解析から、結晶子サイズ分布などの情報を得ることができ、今後の文化財評価が可能であることを確認した。走査型小角散乱法の開発では、1ないし2mmのピンホールが多数ついたコリメータを透過したマルチビームを試料に照射し、それぞれのビームの広がりが小角散乱を反映していることを確認した。異なる波長の中性子を組み合わせることで、裾が重なった小角散乱から、重なりのない真のものに近い小角散乱が得られることを確認した。 Ta試料で得られた共鳴吸収ピークをシミュレーション計算と比較することで、どのような配置が定量化のために有効であるかの基礎データを得た。また、整備したγ線微量分析装置を用いて、共鳴吸収測定と放射化分析が併用してできることを確認した。 磁場ベクトル定量化のためのスピン量子化軸制御機器の設計および構築、磁場測定機器の整備を行った。また、北大における偏極中性子の偏極度解析法に関する試験を開始し、偏極パルス中性子ビームの性能に問題がないことを確認した。 水素貯蔵合金などの水素含有材料について実験を行い、水素量による透過スペクトル変化が観測され、水素の束縛状態の違いが示唆された。 これまでのGEM型中性子検出器の読み出しには、XとYに120本のストリップを用いてきた。従前のものより10倍程度高速な読み出しを達成することを企図して、2304個の独立したパッドを配置した読み出し基板を設計・製作した。また、この新しい読み出し基板に対応したチェンバーの躯体を設計、製作した。画像信号を撮像素子内で、繰り返しアナログ積算できるCIDカメラを購入し、動作を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
解析コードの改良が行われ、その適応範囲が大幅に拡大されるとともに測定法のた。文化財的遺物としての刀の結晶組織構造の情報が得られている。また、小角散乱イメージング法の検討も行われており、共鳴吸収についてもシミュレーションと実験との比較検討などが実施されている。磁気イメージング法の開発に関して、環境整備および試験の予定であったが、概ね当初の予定通り進展している。検出器関係では、GEM検出器は予定通りにパッドを配置した読み出し基板の製作、それに対応したチェンバー躯体の製作を行うことができ、カメラも予定通り進んでいた。
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今後の研究の推進方策 |
23年度の計画は概ね順調に進められたので、24年度はその成果をベースに計画にのっとって進めていく予定である。ブラッグエッジ透過法や共鳴吸収法では、23年度に購入されたものを利用した実験を進めるとともに、解析法の検証や新しいCT法の開発などを行っていく。小角散乱イメージングでは、ピンホールパターンの検討を行い、重なりを分離できるような手法を検討する。磁気イメージングに関しては、さらに機器の整備を進めるとともに、すでに整備を終えた機器による実験を遂行し、空間磁場のベクトル情報取得ならびに画像化法の開発を進める。GEM検出器では、今年度製作した読み出し基板の動作試験を行う予定である。また、高速読み出しに対応した新規の電子回路の製作を行う予定である。また、新しいカメラタイプ検出器を購入し、性能評価を進めていく。応用研究についてもさらに実験解析を進めていく予定である。
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