研究課題
基盤研究(S)
1)細胞内TDIFシグナル伝達の開始の解析TDIFシグナルがどのように細胞内に伝達されるかについて解析した。TDIFシグナルは細胞内キナーゼと通常はTDIF受容体であるTDRと結合しているのだが、TDIFシグナルにより、このキナーゼがTDRから解離することで、細胞シグナル伝達の開始が起こることが明らかとなった。このとき、TDRのリン酸化が必要であることも見いだされた。2)TDIFシグナルによるキナーゼ活性化の解析TDRから遊離することで、維管束幹細胞内にある細胞内キナーゼが活性化されるかどうかを明らかにするために、キナーゼにより活性化されるタンパク質を維管束幹細胞に人為的に発現させた。その結果、TDIFにより維管束幹細胞内でそのタンパク質が活性化されることが示された。また、tdr変異体ではその活性化が起こらないことから、この活性化はTDR依存的に起こることも示された。3)ブラシノステロイド合成阻害剤・ブラシノステロイドシグナル伝達阻害剤を用いた木部分化過程での遺伝子発現解析ブラシノステロイド合成阻害剤・ブラシノステロイドシグナル伝達阻害剤を、ヒャクニチソウ葉肉単細胞培養系、シロイヌナズナleaf disk培養系に与え、経時的にRNAを抽出して、DNAチップ解析を行った。その結果、ブラシノステロイドシグナルに応じて、多数の遺伝子の発現が変動すること、また木部分化に関連する遺伝子を多数誘導することが明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
当初予定していた計画はほぼ順調に進んでおり、TDIFシグナルの実体が明らかになりつつあるため。
今後は、これまでに得られたシグナル因子の機能とお互いの相互作用を見いだすことにより、TDIFシグナルの全貌を明らかにする。
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