研究課題
本年度は以下の4つの課題について研究を行った。1) 10種類の植物GSK3 のTDRとの結合および機能解析を行った。植物GSK3には、BIN2、BIL1、BIL2に加え、7種類のホモログが存在する。これらのTDRとの結合について酵母two hybrid系とFRETにより解析し、BIN2、BIL1、BIL2に加え、他の3種類が結合することを明らかにした。さらに、これら6重変異体を作成したところ、維管束幹細胞維持機能が著しく低下したこと、また、このうち6種類の活性を阻害するBIKININを用いても同様の結果が得られたことから、これら6種がいずれもTDR下流で働くことが明らかとなった。また、BIKININ存在下で葉切片を培養することで、木部分化と篩部が分化することを明らかにした。2) TDRによるBIN2の活性化機構を解析した。その結果、ブラシノステロイドによるBIN2リン酸化サイトと異なるサイトのリン酸化がTDRシグナルには重要であることが示唆された。3)ブラシノステロイドシグナル伝達とTDIFシグナル伝達のクロストークをBIKININ誘導木部細胞分化系を用いて解析した。ブラシノステロイドとTDIFを同時に加えて葉切片を培養したところ、その量比により維管束幹細胞と木部細胞の分化率が変わることが明らかとなった。4)GSK3下流の転写因子について、ブラシノステロイドシグナルの下流で働くBES1/BZR1ファミリーに注目して解析した。解析をBIKININ誘導木部細胞分化系を用いて行ったところ、機能欠損型BES1遺伝子を持つ葉切片では木部分化が阻害されることが分かり、BES1がGSK3下流の重要な転写因子であることが明らかとなった。
1: 当初の計画以上に進展している
4つの研究目的のいずれも目的を達成し、さらにそのうち1つ、BIKININ誘導木部細胞分化系に関して、新たに篩部細胞分化誘導が起こるという新発見をした点において、当初の計画以上の結果を得たため。
今後も当初計画に沿って、維管束幹細胞の発生運命の制御機構について、維持、成立、分化の3つに分けて解析を続ける。特に、1)ブラシノステロイドシグナル伝達とTDIFシグナル伝達のクロストークの分子機構の解析、2)BIKININ誘導分化系を用いた維管束幹細胞成立と分化の決定機構の解析、3)TDIFシグナルの極性とグラディエントの解析、4) WOX4の下流因子の解析、などを行う。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 1件、 査読あり 9件、 謝辞記載あり 7件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 4件)
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