研究課題/領域番号 |
23227002
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
河村 悟 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (80138122)
|
研究期間 (年度) |
2011-05-31 – 2015-03-31
|
キーワード | 桿体視細胞 / 錐体視細胞 / 光感度 / 細胞内情報伝達 / レチノイド / トランスデューシン / ミトコンドリア |
研究概要 |
(1) 桿体のトランスデューシン(Tr)それ自体が活性化されやすい性質のものかどうかを検討した。その結果、桿体でTrが活性化されやすいのは、桿体Trそのものの性質の基づくものではなく、桿体に備わる固有の環境にあることが示唆された。(2) 光量あたりのホスホジエステラーゼ(PDE)活性(PDEの光感度)は錐体では桿体に比べて数十倍低い。錐体では活性化されたTrの寿命は桿体の場合よりも短く、それにより、錐体でのPDEの光感度低下することが明らかになった。(3) 活性型Trの寿命は錐体での方が短い。特異的な抗体を作成し、GTP分解を助けるGAP蛋白質(RGS9)の発現量を桿体と錐体とで比較したところ、錐体の方が20倍多く発現していることが分かり、活性型Trの寿命が錐体の方で短いのは錐体でこの蛋白質の発現量が多いことが理由であることが分かった。(4) 当研究室で見出した新規の11-シス レチナール生成反応であるAL-OL反応を担う実体の同定を試みている。候補蛋白質を見出した。(5) コイ桿体と錐体数例にについて、ホールセルパッチクランプモード下で光応答を測定し、電気的に光シグナルの増幅度を桿体と錐体とで比較した。これまでのところ、我々がこれまでに生化学的な測定により得た増幅度(錐体では桿体の1/5)と矛盾しない結果(約1/4)が得られている。(6) 桿体と錐体の外節の精製方法をほぼ確立した。(7) ES1蛋白質を桿体に異所的に発現させたところ、桿体ミトコンドリアサイズが増大した。(8) NDRG1L錐体特異的に発現している。ホモログであるNDRG1について検討したところ、splice variantとして、v1とv2の2種類があり、免疫組織学的な観察により、v1は桿体と錐体の両方で、また、v2は錐体に発現していることが分かった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね研究計画に記載したスケジュールで研究が進行している。既に完了した研究もあり、また、新たに派生した研究課題についても取り組み始めていることから。
|
今後の研究の推進方策 |
ほぼ予定通り進行しているので研究の大幅な変更はない。また、計画していた研究から派生した研究課題についてもこれから取り組んで行く。
|