研究課題
平成25年度は下記の成果を得た。1.桿体と錐体での活性型トランスデューシンによるcGMPホスホジエステラーゼの活性化効率は、桿体と錐体とで違いがないこと、また、活性化される総量のcGMPホスホジエステラーゼが桿体の方が多いのは、桿体での方が活性型トランスデューシンの寿命が長いことによることが明らかになった。これまでの研究成果を含め、桿体と錐体とでの信号増幅度の違いは、生化学的には錐体では桿体の1/5であると結論した。2.我々が見出し、錐体での11-シスレチナール生成反応に寄与すると考えている(アルデヒド・アルコ-ル共役反応;AL-OL coupling reaction)の活性は錐体内節に存在すること、基質であるレチノールに対しては特異性が高く(11-シス型と9-シス型)、もう一方のアルデヒドに対しては特異性が低いこと(長鎖アルデヒドなら可)、逐次反応機構で反応が進行すること、などを明らかにした。3.上記1の生化学的な結論を電気生理学的に検証した。増幅度は錐体では桿体での1/4であるとの結果が得られ、生化学的な実験結果と矛盾の無い結果が得られた。これによって、錐体では桿体での増幅度の数分の1であることを確定した。4.精製錐体から外節を単離精製する技術を開発し、桿体外節に含まれる蛋白質との違いを網羅的に検討した。その結果、いくつかの蛋白質が錐体特異的に発現していることを示唆する結果を得ている。5.桿体と錐体にはそれぞれ特異的なアレスチンが発現し、その発現量は、錐体の方が桿体よりもはるかに多いことが分かった。活性型視物質を不活性化する反応が錐体の方がより強力であることが明らかになった。
2: おおむね順調に進展している
概ね研究計画に記載したスケジュールで研究が進行しており、かつ、成果も得られているので。
ほぼ予定通り進行していることもあり、当面は当初の予定に従って研究を推進する。
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Journal of Biological Chemistry
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Biochemical and Biophysical Research Communications
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