研究課題
ホスファチジルイノシトール(PI)にアラキドン酸を導入するLPIAT1の欠損マウスは脂肪肝を示す。肝臓系の培養細胞においてLPIAT1の発現抑制をしたところ、欠損マウスと同様に中性脂質の蓄積がみられた。詳細に調べたところ、中性脂質の合成やリポタンパク質分泌には異常はなく、中性脂質(脂肪滴)の分解が遅延することがわかった。これらの結果から、PI中のアラキドン酸が肝臓における脂肪滴の分解に重要であり、PI脂肪酸鎖の異常は、脂肪肝を引き起こすことが示唆された。培養細胞に高度不飽和脂肪酸(PUFA)を負荷すると、PUFAがリン脂質に取り込まれるとともに、飽和脂肪酸のみを持つリン脂質(DPPC)が産生されることを見出している。脂質代謝関連遺伝子をRNAiスクリーニングした結果、LPCAT1がPUFA負荷時のDPPC産生に関わることを見出した。またLPCAT1の発現抑制によりDPPC産生を抑えると、PUFA負荷時に小胞体ストレス応答誘導性の細胞死が起こることがわかった。さらにマウスの網膜においてもPUFA含有リン脂質の増加とともにDPPCが増加していることがわかり、LPCAT1欠損マウスの網膜ではDPPC産生が顕著に抑制され、視細胞の脱落がみられた。これらのことから、生体膜中に過度にPUFAが増加するとDPPCを産生して生体膜飽和/不飽和のバランスをとる、という生体膜脂肪酸の恒常性維持機構が示唆され、またその破綻は網膜変性につながることが示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (15件) (うち国際共著 3件、 査読あり 15件、 オープンアクセス 12件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (30件) (うち国際学会 6件)
PLoS Genet.
巻: 12 ページ: e1006276
10.1371/journal.pgen.1006276.
Nat Commun.
巻: 7 ページ: 11932
10.1038/ncomms11932.
Sci Rep.
巻: 6 ページ: 28198
10.1038/srep28198
巻: 2017 ページ: 20995
10.1038/srep20995.
FASEB J.
巻: 30 ページ: 2027-39
10.1096/fj.201500149.
Stem Cells.
巻: 34 ページ: 470-82
10.1002/stem.2246.
Enzymes
巻: 38 ページ: 43-54
10.1016/bs.enz.2015.09.008.
巻: 38 ページ: 23-36
10.1016/bs.enz.2015.09.007
J Biol Chem.
巻: 290 ページ: 25848
10.1074/jbc.A110.169664.
J Lipid Res.
巻: 56 ページ: 1880-90.
10.1194/jlr.M058164.
J Cell Sci.
巻: 128 ページ: 3131-42.
10.1242/jcs.172171.
Channels (Austin)
巻: 9 ページ: 166-8
10.1080/19336950.2015.1062332.
巻: 5 ページ: 9750
10.1038/srep09750.
巻: 290 ページ: 17520-34
10.1074/jbc.M114.635433.
J Biochem.
巻: 158 ページ: 331-8
10.1093/jb/mvv044.