生体膜を構成するリン脂質には多様な構造を持つ脂肪酸鎖が結合し、生体膜の疎水的環境を形成しているが、その細胞生物学的意義はほとんど解明されていなかった。我々は生体膜リン脂質の脂肪酸鎖を規定する分子群を基軸に研究をおこなった結果、エンドサイトーシス、細胞接着、ミトコンドリア融合などの細胞機能に特定のリン脂質分子種が重要であることが明らかとなった。また特定のリン脂質脂肪酸鎖により活性や安定性、局在が変化するタンパク質群を同定した。さらに生体膜脂肪酸鎖のバランスを維持する分子機構を解明し、生体膜脂肪鎖鎖の異常が過剰な炎症応答や脂肪肝を引き起こすことを明らかにした。
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