研究課題/領域番号 |
23227006
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研究種目 |
基盤研究(S)
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
吉田 賢右 京都産業大学, 総合生命科学部, 教授 (90049073)
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キーワード | ATP合成 / ATP合成酵素 / 細胞エネルギー / ミトコンドリア / 回転モーター |
研究概要 |
交付申請書に記載した通り、2011年度(平成23年度)はATP 合成酵素(FoF1)の結晶化に集中した。回転モーターで巨大な膜たんぱく質複合体であるFoF1の結晶化には、特別の困難がある。これを回避するためにさまざまなサブユニット融合FoF1を作成しているが、10コピーあるcサブユニットを1本のポリペプチドに融合してさらにaサブユニットに融合した (c10-a)複合体がもっとも有望であると考えて、この複合体の大腸菌による発現条件を最適化し、精製条件を検討し、初歩的な結晶化条件の探索を行った。この複合体は、c10とaの間のリンカーを切ると直ちに活性が回復するので、インタクトな構造を持っていると考えられる。界面活性剤としては、FoF1に対して変性や解離作用がなく、複合体を均一な単分散に保ち、また可溶効率が高い、octyl maltoside などがもっとも良好であった。非特異的な凝集を防ぐために塩濃度は高く保つ必要があることがわかった。また、精製中にFoとF1が解離してしまうことがあり、これを防ぐためにMg 2+ を高めに加えておくとよいらしい。結晶化ロボットでスクリーニングを開始して、いくつかの条件で結晶が析出した。塩の結晶ではないが、解離したF1の結晶である可能性はおおいに考えられる。これが求めるATP 合成酵素の結晶であるかどうか、電気泳動ですべてのサブユニットが含まれているかどうか、確認する必要がある。そのために、電気泳動に十分な量の結晶を集めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
結晶化をおこなう研究員の雇用が遅れたため。
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今後の研究の推進方策 |
結晶化の準備はほぼととのった。これからはさまざま条件のスクリーニングを行う。2012年度(平成24年度)は、計画通り、結晶化に加えて、ATP 合成酵素の制御機構の研究と、細胞と個体レベルの研究を進展させる。
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