• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

炭素ー窒素結合切断および合成酵素群の統括的機能解明と応用開発

研究課題

研究課題/領域番号 23228002
研究種目

基盤研究(S)

研究機関筑波大学

研究代表者

小林 達彦  筑波大学, 生命環境系, 教授 (70221976)

研究分担者 東端 啓貴  東洋大学, 生命科学部, 准教授 (20344864)
キーワード微生物 / 酵素 / バイオテクノロジー
研究概要

炭素-窒素結合合成酵素に関して、C-N三重結合を形成する反応を触媒する(Pseudomonas chlororaphis B23株の)アルドキシムデヒドラターゼ(以下OxdA)の構造機能解析結果を以下に記載する。
種々の沈殿剤を用いてハンギングドロップ法により、OxdAの結晶化を試みた。硫酸アンモニウムやグリセロールの沈殿剤を使用した時に、赤色を呈した結晶が得られた。本OxdA結晶にX線を照射することによって1.8Åの解像度で立体構造を決定した。活性中心のヘム鉄から6Å以内のdistal側には、(先行研究で既に明らかとなっているH320以外に)E143, S174, R178, S219, Q221, Y234, N279 が位置し、反応機構に関与する可能性のあるアミノ酸残基の候補と推測された。これらをアラニンに置換した変異酵素の発現プラスミドを各々構築し、大腸菌で発現させた。DEAEカラムクロマトグラフィーまでの精製ステップで、E143A, H169A, S174A, Q221A, Y234A, N279A変異体に関しては活性が著しく減少するものはなかった。しかし、E143とQ221は必須アミノ酸との間で水素結合を通して触媒に関与する可能性があるため、E143A,R178A,S219A,Q221A変異体を各々完全に精製した。E143AとQ221Aは酵素活性が低下しなかったが、R178Aは野生型OxdAの約20%に活性が低下し、S219Aは酵素活性が認められなかった。S219A変異導入はヘム含有量や二次構造に影響を与えないにも関わらず、酵素活性が消失したことから、OxdAによる炭素-窒素三重結合形成反応においてS219は重要なアミノ酸であることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

X線構造解析で用いる結晶の作成に際し、種々の沈殿剤や結晶化方法の条件を検討したが、OxdA結晶をなかなか得ることができないため当初の想定より遅れてしまった。しかし、結晶化条件のみならず、OxdAの精製方法まで検討することにより目的の結晶を作成することができた。
また、発現量が著しく低下したOxdA変異酵素が存在し、野生型OxdAの精製手順では同様の精製レベルまで精製できないため当初の想定より遅れてしまった。しかし、それぞれの変異酵素について大量培養および大量精製し、酵素活性など、各種生化学的解析を行うことで、炭素-窒素結合合成に重要なアミノ酸を予想することができた。新規炭素-窒素結合切断酵素を保持する微生物についても候補株が取得でき、おおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

候補として取得できた新規炭素-窒素結合切断酵素を保持する微生物については、新規炭素-窒素結合切断酵素を取得する予定である。
炭素-窒素三重結合合成酵素を含む既存酵素についても、部位特異的変異を行い各種変異酵素を構築・精製するとともに、既存酵素の反応機構を解明すべく変異酵素の生化学的解析(諸性質の解明)を行う。

  • 研究成果

    (9件)

すべて その他

すべて 学会発表 (9件) (うち招待講演 2件)

  • [学会発表] 微生物と酵素の潜在機能の開拓: 探索と戦略

    • 著者名/発表者名
      小林 達彦
    • 学会等名
      2012年度日本農芸化学会
    • 発表場所
      京都、京都女子大学
  • [学会発表] 新規イソニトリルヒドラターゼの機能解析

    • 著者名/発表者名
      佐藤 太祐、橋本 義輝、小林 達彦
    • 学会等名
      2012年度日本農芸化学会
    • 発表場所
      京都、京都女子大学
  • [学会発表] ニトリル合成酵素の変異体構築および諸性質の解析

    • 著者名/発表者名
      野村 純平、橋本 義輝、小林 達彦
    • 学会等名
      2012年度日本農芸化学会
    • 発表場所
      京都、京都女子大学
  • [学会発表] シュードモナス属細菌由来ニトリル合成酵素の変異体解析

    • 著者名/発表者名
      野村 純平、橋本 義輝、小林 達彦
    • 学会等名
      84回 生化学会大会
    • 発表場所
      京都、国立京都国際会館
  • [学会発表] 新規イソニトリルヒドラターゼの諸性質と活性残基の同定

    • 著者名/発表者名
      佐藤 太祐、橋本 義輝、小林 達彦
    • 学会等名
      84回 生化学会大会
    • 発表場所
      京都、国立京都国際会館
  • [学会発表] Unique enzyme reactions involved in the formation of a carbon-nitrogen bond

    • 著者名/発表者名
      Michihiko Kobayashi
    • 学会等名
      Enzyme Engineering XXI
    • 発表場所
      Colorado,USA
    • 招待講演
  • [学会発表] New isonitrile hydratase from Arthrobacter: Characterization and identification of the active site

    • 著者名/発表者名
      Hiroyoshi Sato, Yoshiteru Hashimoto, and Michihiko Kobayashi
    • 学会等名
      Internationar Union of Microbiological Societies 2011 Congress (IUMS 2011 Congress)
    • 発表場所
      札幌、札幌コンベンションセンター
  • [学会発表] Microbial nitrile metabolism: Regulation and utilization

    • 著者名/発表者名
      Michihiko Kobayashi
    • 学会等名
      Society for Industrial Microbiology 61st Annual Meeting (SIM)
    • 発表場所
      New Orleans,USA
    • 招待講演
  • [学会発表] Microbial cleavage of nitrogen-carbon triple bond: Metabolism and enzyme

    • 著者名/発表者名
      Hiroyoshi Sato, Yoshiteru Hashimoto and Michihiko Kobayashi
    • 学会等名
      American Society for Microbiology 111th General Meeting
    • 発表場所
      New Orleans, USA

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi