研究課題
【ショウジョウバエ外感覚器前駆体細胞運命のゆらぎ】翅成虫原基小盾版プロニューラルクラスターの細胞運命解析から、ショウジョウバエ外感覚器前駆体細胞(SOP)を作り出す細胞運命決定にはカスパーゼの非細胞死誘導に関わる活性が必要であることが判っていた。また、カスカーゼ変異体では、その体液組成のメチル化指数に変化のあることも判ってきた。そこでメチル化によるSOPの制御、特に遺伝子のエピゲネティック制御に注目し、RNAi系統を用いた遺伝学的なスクリーニングを行った。その結果、ヒストンH3メチル化に関わる遺伝子のノックダウンによってカスパーゼやその活性化因子の変異体と同様にSOP数の増加を伴う表現型が得られた。また、翅成虫原基全体でのカスパーゼ阻害によって翅の厳密なサイズ制御に細胞死シグナルが関わるとの結果を得ている。【マウス神経発生における細胞死の役割】マウスの神経管閉鎖がおこるステージにおいて、細胞死は神経管閉鎖時の閉鎖速度の制御、FGF8産生細胞の領域調節をしていることがこれまでの研究から判って来た。このようにアポトーシスは初期胚の神経発生に重要な役割を持っているが、アポトーシスのトリガーを含めてその制御は明らかになっていない。神経管閉鎖時にはダイナミックな代謝変化がおこっていることが明らかになり、アポトーシス制御との関わりが注目される。
2: おおむね順調に進展している
発生の頑強性を制御する仕組みとして体内環境に対する応答が重要であることが少しづつ明らかになってきた。細胞運命決定に関わる遺伝子発現のメチル化制御との関わりがショウジョウバエの研究から示され、また、哺乳類においては発生での細胞死に胚の代謝変化が密接に関わることも判ってきた。このように、体内環境と密接に関わる胚の代謝応答と発生の頑強性との関わりが見えてきたことは新たな研究の進展として重要であると考えられる。カスパーゼ1は様々なunconventional secretionに関わるが、その活性化の可視化から新たな活性化制御も判ってきた。発生との関わりにも関心がもたれる。
【ショウジョウバエ外感覚器前駆体細胞運命のゆらぎ】SOP数の制御に関わるヒストンH3メチル化に関わる酵素の作用を詳しく解析していく。翅の厳密なサイズ制御に細胞死シグナルが関わるとの結果を得ているためその詳細な解析を行う。さらに成虫原基再生においても細胞死シグナルがサイズ制御に関わるかを遺伝学的なスクリーニングも視野にいれ進めて行く。【マウス神経発生における細胞死の役割】神経間閉鎖時の細胞死のトリガーとしての代謝変化とその制御に注目した研究を進める。カスパーゼ1によるunconventional secretionの分子機構解明と、その仕組みの発生での役割を調べていく。
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