研究課題
本研究は、Rhoの下流でactin重合因子として働いているmDiaを対象として、3種のmDia isoform の遺伝子欠損マウスを用い、それらが構築するアクチン細胞骨格の組織構築、組織恒常性、組織可塑性における働きを明らかにしようとするものである。本年度は、① mDia2欠損マウスを作出し、これが胎生12.5日で致死であること、mDia2欠損マウスの末梢血では多核化赤芽球が増加し強い貧血を示すこと、造血組織である胎児肝臓由来の細胞を用いた赤芽球分化誘導系でmDia2欠損細胞は細胞質分裂に失敗することを認めた。この結果は、in vivoの個体内でもmDia2が細胞質分裂に重要な働きをしていることを示唆するものであった。② mDia1/3二重欠損マウスの‘miffy型’の歩行を解析し、大脳皮質脊髄路の軸索が同側の脊髄前角にも投射していること、その脊髄ではEphrinの中央部集積の消失が見られ、in vitroの神経培養系でmDia1/3-DKO神経細胞はEphrinに対する反応性を欠くことを見出した。これらの結果は、mDia1/3によるアクチン細胞骨格が脊髄の組織構築や神経細胞の軸索ガイダンスに不可欠なことを示したものであった。さらに、③ 海馬初代培養神経細胞を用いた実験で、神経シナプス前終末を介する可塑性でmDiaが重要な役割をしていること、④ mDia1/3 二重欠損マウスを用いた実験で、mDia1/3を介するアクチン線維がTCRのシグナル伝達に重要な働きを果たしていること、⑤ mDia1/3欠損マウスでの不妊の原因を解析して、mDia1/3によるアクチン線維がSertoli細胞のF-actin hoopの形成に働き、精子の正常な形態形成に重要な働きを行っていること、などを見出した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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