研究実績の概要 |
1.NKT細胞系列決定遺伝子群の同定 NKT細胞の系列決定および分化に関わる遺伝子の同定を目的とし、NKT細胞分化に伴う遺伝子発現プルファイルをRNA-seqによって実施し、複数の候補遺伝子を選定した。これら候補遺伝子のNKT細胞分化への関与を確認するために、NKT-ES細胞を用いたNKT細胞分化誘導系におけるshRNAによる遺伝子ノックダウンを実施した。その結果、Phlda2, Nfe2l3, Sfrp1, Mdfic, Ablim3, Dppa5a, Zfp286, Hlf, Hmga2 Foxs1など複数の遺伝子においてNKT細胞分化への関与が認められた。これらに関して、ノックアウトマウスの作成を実施している。本年度は特に、新しい遺伝子編集技術であるCRISPR/CAS9システムを用い、遺伝子欠損マウスの作成を試み、複数遺伝子についてノックアウトアリルを保有するマウスを得た。 2.新しいNKT細胞分化経路の発見 各種転写因子リポーターマウスを用いたNKT細胞分化のFate mappingを実施した。その結果、T細胞およびNKT細胞分化において予てより必須であると信じられていたCD4/CD8 DPステージを経ない、新しいNKT細胞分化経路(DN経路)の存在が示唆された。 3.NKT細胞分化のエピジェネティック制御 NKT細胞の分化において、エピジェネティックな遺伝子発現制御機構が重要であると仮定し、エピジェネティック制御因子欠損マウスにおけるNKT細胞の解析を実施した。その結果、ヒストンH2AのK119をユビキチン化するエピジェネティック制御因子であるRing1分子がNKT細胞の分化に強く関与することが示唆された。
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