研究課題/領域番号 |
23229006
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
松原 弘明 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (10239072)
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研究分担者 |
的場 聖明 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (10305576)
上山 知己 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (80379388)
池田 宏二 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (90423871)
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キーワード | 心不全 / インスリン抵抗性 / エネルギー代謝 |
研究概要 |
(1)心筋において、p53の下流にあるTIGARが低酸素負荷時の解糖系を抑制しているが、TIGAR KOマウスでは、オートファジーを介してミトコンドリアの質を維持し、梗塞後のリモデリング抑制を来すことを見いだした。TIGARは、エネルギー代謝およびミトファジー介し心筋細胞の恒常性制御を行っていることが判明した。またp53の下流標的因子であるSCO2は、糖尿病心筋において亢進しており心筋細胞膜上のCD36発現亢進とともに脂肪酸代謝亢進を誘導するものの細胞内中性脂肪蓄積と活性酸素増加により心筋収縮能低下を来たし、心不全を来すことを証明発表した。 (2)心筋細胞のカベオラに集積しているβ1受容体やα1受容体に対するMURCの役割について検討した。MURCは、β1受容体やα1受容体と心筋細胞の細胞膜で共局在しており、MURCをknockdownするとβ1受容体やα1受容体を介したシグナルが抑制されることを見出した。このように、MURCが心筋細胞のカベオラを介したシグナル伝達に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。 (3)心筋細胞死におけるARIAの機能解析を行うためにラット横紋筋細胞のH9C2を用いてARIAを発現する細胞株を作成した。DOX刺激による細胞死はARIA過剰発現により増加した。そのメカニズムとしてARIAはPTENの細胞膜局在を増加し、細胞生存シグナルであるPI3K/Aktを減弱させることを証明した。次にラット胎児心筋細胞の初代培養を用いて、ARIAの発現をノックダウンして同様の検討を行った。ARIAノックダウンによりDOX誘導性の心筋細胞死は減少した。さらにARIA-KOマウスにDOXを投与して生体内におけるARIAの機能を解析した。野生型マウスではDOX投与により心筋細胞死・左室壁の菲薄化・心筋線維化が発症し、心収縮能は低下した。一方、ARIA-KOでは心収縮能は有意に維持されており、心筋細胞死・左室壁の菲薄化・心筋線維化はいずれも軽減していた。これら結果からARIAはPTEN/PI3Kの調節を介して心筋細胞死を制御していることを明らかにできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TIGAR欠損マウスにおける新たな心筋保護効果を発見し、その代謝調節機序をin vivo並びに培養細胞によって証明しつつある。また、MURCのカベオラを介した情報伝達系における役割や、ARIAによるPTEN/PI3Kの調節を介した心筋細胞死の制御機構が明らかにできたと考えるため。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き下記の項目について研究を進める予定である。 1).マウスランゲンドルフ灌流心とin vivoノックアウトモデルにおいて心筋代謝のフラックスの解析およびTIGAR阻害薬による心筋保護効果の検討 2).MURC/カベオラ系を介するエネルギー代謝と細胞死の制御メカニズムの解明 3).ARIAによる心筋インスリン感受性と細胞死の制御機構の解明 4).心筋エネルギー代謝と細胞死の統合制御による心不全治療開発
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