• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

関節リウマチを対象としたヒト免疫学の確立

研究課題

研究課題/領域番号 23229007
研究種目

基盤研究(S)

研究機関東京大学

研究代表者

山本 一彦  東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80191394)

研究分担者 岡村 僚久  東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (10528996)
岡本 明子  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40431861)
庄田 宏文  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20529036)
澁谷 美穂子  東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (20366363)
住友 秀次  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20392996)
キーワードゲノム / 内科 / 免疫学 / 細胞・組織 / 生体分子
研究概要

関節リウマチ(RA)の疾患感受性遺伝子として同定した蛋白のシトルリン化酵素であるPADI4については、コラーゲン誘発性関節炎がPADI4欠損マウスで有意に抑制されることが分かった。さらにPADI4欠損マウスでは血清の抗II型コラーゲン抗体価が減少しており、関節炎が抑制された機序のひとつと考えられた。PADI4欠損マウスではコラーゲン免疫後7日目の濾胞性B細胞の数が減少しており、PADI4は適応免疫におけるB細胞分化に重要な役割を果たしている可能性があることが示唆された。またPADI4欠損マウスでは炎症性サイトカイン産生も修飾されており、PADI4の自然免疫への関与も推測された。
自己抗原BiP特異的T細胞のRA患者における解析では、BiPのepitope(BiP336-355)特異的T細胞はRA患者末梢血CD4陽性T細胞の0.1-0.5%,滑膜の2-5%であった。注目すべきことに、CD4陽性IL-17分泌細胞中のBiP336-355特異的細胞の割合は、末梢血では5%未満であるのに対し、滑膜中では15-60%と著明に濃縮されていた。IL-17はRAの炎症形成に重要なサイトカインであり、関節局所のIL-17産生CD4陽性T細胞のかなりの部分がBiP336-355に特異的であるという事実は、BiPのRA発症における自己抗原としての重要性を示唆している。またBiP336-355特異的T細胞のT細胞受容体の配列を単一細胞レベルで調べたところ、一部にクローナルな増殖が確認され、α鎖、β鎖の配列を同定できた。今後はT細胞受容体をクローニングし、抗原特異的T細胞の分化、関節炎における役割をヒト化マウスモデルで検討することで、Bip特異的T細胞の関節炎および自己免疫における役割を検討する予定である。
以上のように、RAにおけるヒト免疫の異常の解明に関して重要な進展がみられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究の目的で示した、RAにおけるヒト免疫システムの解析については、ヒトにおけるゲノム解析の結果同定されたPADI4の、抗体産生における役割と自然免疫における役割が一部解明されてきている。さらにRA発症と密接な関連をもつ表現型の抗原特異的T細胞が同定されるという新たな知見が得られており、おおむね順調と考えられる。

今後の研究の推進方策

PADI4ノックアウトマウスについてはB細胞における役割をより明らかにするため、その他の抗原免疫でも同様の抗体産生に影響が出るか、B細胞欠損マウスへのノックアウトマウスのB細胞移入実験などを予定している。またマクロファージなど自然免疫担当細胞のサイトカイン産生についても検討する予定である。Bip特異的T細胞については、RAにおける病態との関わりを示す証拠を得る必要がある。具体的にはBiP特異的T細胞のマイクロアレイ解析、T細胞受容体クローニングと抗原特異的T細胞の再構成により、ヒト化マウスにおける抗原特異的T細胞の動態を解析する、ヒトにおいて抗原特異的T細胞と抗原特異的B細胞の相互作用を検討するなどの研究を予定している。LAG3陽性制御性T細胞とRAの関連については、フローサイトメトリー、遺伝子発現解析、などを行い検討していく。

研究成果

(4件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文

  • [雑誌論文] Regulation of histone modification and chromatin structure by the p53-PADI4 pathway2012

    • 著者名/発表者名
      Tanikawa C, Espinosa M, Suzuki A, Masuda K, Yamamoto K, Tsuchiya E, Ueda K, Daigo Y, Nakamura Y, Matsuda K
    • 雑誌名

      Nat Commun.

      巻: 3 ページ: 676

    • DOI
      10.1038/ncomms1676
    • 査読あり
  • [雑誌論文] A genome-wide association study identified AFF1 as a susceptibility locus for systemic lupus eyrthematosus in Japanese2012

    • 著者名/発表者名
      Okada Y, Shimane K, Kochi Y, Tahira T, Suzuki A, Higasa K, Takahashi A, Horita T, Atsumi T, Ishii T, Okamoto A, Fujio K, Hirakata M, Amano H, Kondo Y, Ito S, Takada K, Mimori A, Saito K, Kamachi M, Kawaguchi Y, Ikari K, Mohammed OW, Matsuda K, Terao C, Ohmura K, Myouzen K, Hosono N, Tsunoda T, Nishimoto N, Mimori T, Matsuda F, Tanaka Y, Sumida T, Yamanaka H, Takasaki Y, Koike T, Horiuchi T, Hayashi K, Kubo M, Kamatani N, Yamada R, Nakamura Y, Yamamoto K
    • 雑誌名

      PLoS Genet.

      巻: 8 ページ: e1002455

    • DOI
      10.1371/journal.pgen.1002455
    • 査読あり
  • [雑誌論文] PADI4 polymorphism predisposes male smokers to rheumatoid arthritis2011

    • 著者名/発表者名
      Kochi Y, Thabet MM, Suzuki A, Okada Y, Daha NA, Toes REM, Huizinga TWJ, Myouzen K, Kubo M, Yamada R, Nakamura Y, Yamamoto K
    • 雑誌名

      Ann Rheum Dis

      巻: 70 ページ: 512-5

    • DOI
      10.1136/ard.2010.130526.512
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Meta-analysis identifies nine new loci associated with rheumatoid arthritis in the Japanese population

    • 著者名/発表者名
      Okada Y, Terao C, Ikari K, Kochi Y, Ohmura K, Suzuki A, Kawaguchi T, Stahl EA, Kurreeman FA, Nishida N, Ohmiya H, Myouzen K, Takahashi M, Sawada T, Nishioka Y, Yukioka M, Matsubara T, Wakitani S, Teshima R, Tohma S, Takasugi K, Shimada K, Murasawa A, Honjo S, Matsuo K, Tanaka H, Tajima K, Suzuki T, Iwamoto T, Kawamura Y, Tanii H, Okazaki Y, Sasaki T, Gregersen PK, Padyukov L, Worthington J, Siminovitch KA, Lathrop M, Taniguchi A, Takahashi A, Tokunaga K, Kubo M, Nakamura Y, Kamatani N, Mimori T, Plenge RM, Yamanaka H, Momohara S, Yamada R, Matsuda F, Yamamoto K
    • 雑誌名

      Nat Genet.

      巻: (in press)

    • DOI
      10.1038/ng.2231
    • 査読あり

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi