研究課題
既に確立している脊髄アストロサイト特異的遺伝子導入法を用いて、脊髄アストロサイトに恒常的活性化型STAT3を遺伝子導入したところ、アロディニアが誘発された。昨年度までの結果と併せて、低侵襲的な脊髄後角への遺伝子導入法の有用性を示した。次に、in vivoにおいて脊髄後角アストロサイトの機能制御を可能とする系の確立を試みた。アストロサイトの活動制御に重要であるとされる細胞内Ca2+濃度の制御を目的として、Designer Receptors Exclusively Activated by Designer Drugs (DREADD)の1種であるhM3D遺伝子を搭載したベクターを作製し、マウスへ投与した。急性単離脊髄スライスを用いた検討から、hM3Dのアゴニスト処置時にアストロサイト細胞内Ca2+濃度の増加が観察され、機能的発現を確認した。そこで、このマウスを用いて脊髄アストロサイト刺激時において、触・熱・冷・化学刺激に対する応答について検討したところ、熱・冷・化学刺激に対する応答に変化は見られなかったのに対し、興味深いことに触刺激が痛みへと変調し得ることが明らかとなった。また、脊髄アストロサイト刺激条件下において、マウス後肢にAβ線維特異的な電気刺激を行うことにより、脊髄神経細胞においてc-fos陽性細胞数の増加が確認された。以上の結果から、正常時において脊髄後角アストロサイトの様式特異的な感覚情報処理への関与の可能性が示された。2光子励起顕微鏡を用いた生体イメージング、もしくは組織切片を共焦点顕微鏡で観察する実験系を駆使して、脊髄実質のアストロサイトのカルシウム動態をイメージングしたところ、脊髄後角1,2層のアストロサイトが末梢からの各種侵害刺激に応答しており、この応答にノルアドレナリン作動性神経、α1受容体が関与していることが薬理学的手法を用いた解析から示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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