研究課題/領域番号 |
23240002
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
定兼 邦彦 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 准教授 (20323090)
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研究分担者 |
渋谷 哲朗 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (60396893)
福永 ALEX 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (90452002)
浅野 哲夫 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (90113133)
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キーワード | メニーコア / GPGPU / 並列アルゴリズム / 省スペースアルゴリズム |
研究概要 |
まず,n 節点の根付き木で定義される関数を計算する問題を扱った.具体的には,木の各節点での関数の値がその子節点の関数の値の和で定義される関数の,木の根での値 f(r) を求める問題である.この問題に対し,p プロセッサのEREW-PRAMモデルで O(n/p + log^2 p) 時間で計算するアルゴリズムを提案した.演算子 × と + は次の条件を満たすとする: × は結合的で,+ に対して左分配的であり,+ は結合的である.もし × が逆元を持つなら(つまり × が群を成すなら),時間計算量は O(n/p + log p) に改善される.このアルゴリズムは省メモリである.節点の重みが k ビットで表現され,関数の値が W ビットで表現されるとすると,このアルゴリズムは木を格納するために 2(k+1)n ビットを用い,関数の計算を行う際の作業領域は O(p(W+log n)) ビットである.単純さとメモリ効率の良さから,このアルゴリズムはGPGPUに適している. また,順序木の簡潔表現をさらに圧縮する手法を開発した.n 節点の順序木を 2n ビットで表現する手法としては LOUDS, BP, DFUDS が存在する.しかしこれらの表現は木がどのような形をしていても常に 2n ビットを用いる.しかし,木のクラスを限定すると 2n より少ないビット数で木を表現できる可能性がある.例えば,全ての内部節点がちょうど2個の子を持つような木の場合,木の表現の情報理論的下界は n ビットである.そこで,順序木の次数エントロピーという値を用いて木のクラスを定義した.次数エントロピーを H とすると,順序木は nH +o(n) ビットで表現できる.前述の2分木は n + o(n) ビットで表現でき,下界と一致する.このように圧縮した表現でも従来通りの問い合わせは行える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特任研究員が採用を辞退したためアルゴリズムの実装などは遅れているが,理論研究については順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
GPUを用いたアルゴリズム設計のためのモデルを考案し,そのモデルの上で効率的なアルゴリズムの開発を行う.また,GPUの少ないメモリでも動作するような省メモリアルゴリズムの開発を行う.
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