研究課題/領域番号 |
23240009
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
東野 輝夫 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (80173144)
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研究分担者 |
梅津 高朗 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (10346174)
山口 弘純 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (80314409)
廣森 聡仁 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (90506544)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 無線通信 / ユビキタスネットワーク / エミュレーション / ユビキタスサービス |
研究概要 |
本研究では、都市環境における人や車の行動モデルを構築するとともに、その下で実空間・サイバー空間連携型(シミュレータ・エミュレータ連携型)評価用テストベッドを迅速且つ低コストで実現するための技術を開発することを目指している。本年度は、評価用テストベッドの土台となる Human Mobility Sensing Simulator (HumanS)の機能拡充を行った。HumanSは、人や環境などのセンシング対象、センシングを行うセンサ、センシング結果を収集するネットワーク、センシング結果の分析結果に基づく機器制御を同時にシミュレーション可能な評価環境で、実空間から得られるセンシング情報と連携させることでシミュレータ・エミュレータ連携型のテストベッドを構築している。この HumanSを利用し、大阪駅前の地下街を対象に利用するセンサや配置の違いによる人流の検知率の差などを評価するとともに、最適なセンサ配置問題に対する解法などを考案した。また,都市街区の交差点付近における車両数などのノード密度とその動的な変化を計測・分類し、対象セル毎に指定されたノード密度が得られるようなモビリティモデルを人工的に合成することで、交差点周辺での様々な車両数の変化モデルを生成し、対象とする車車間通信プロトコルの性能評価や問題点の抽出を自動化するための手法を考案した。このモデルでは、あらかじめノード周辺のトラフィックを確率分布としてモデル化し、その確率分布に基づきパケット送信やパケット受信の成否を決定することで、評価目的やシミュレーションに使用する計算機資源に応じ、柔軟なシミュレーションを行うことができる。さらに、車車間通信を併用した動的な信号制御システムを考案し、その信号制御システムを用いることで、当該街区のエネルギーやCO2がどの程度削減可能かを評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、我々の研究グループで開発しているHumanSを基に、エミュレーション機能やエネルギー評価機構、実世界を扱うセンシング及び機器制御を対象としたエミュレーション機能などを開発した。また、ノード周辺のトラフィックを確率分布としてモデル化し、その確率分布に基づきパケット送信やパケット受信の成否を決定する手法を考案・実装したことで、シミュレーションの階層化に対するある程度の目処も得られた。このような状況で、計画は当初の予定通りおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では、(i)都市街区のCO2 や冷暖房エネルギーの節約を目指した環境センシングシステムや、(ii)大規模災害時における生存・避難情報収集配信システム、(iii)車車間通信を併用した都市レベルの車両誘導制御などの先進的なITSシステム、(iv)ユビキタス通信機能を利用した地下街でのショッピング情報の提供や緊急時避難誘導システム、(v)ユビキタス端末を利用した人口過疎地での高齢者の見守りシステムなど、社会の安全・安心に関連する幾つかの事例適用研究を行うことで、提案手法の有効性の評価・検討を行う予定である。
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