研究分担者 |
西尾 信彦 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (70286631)
角 康之 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (30362578)
藤波 香織 東京農工大学, 工学研究科, 准教授 (10409633)
寺田 努 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (70324861)
井上 創造 九州工業大学, 工学研究科, 准教授 (90346825)
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研究概要 |
初年度は大規模行動データベースの構築を実現するための基礎的な事項について検討した.初年度の成果として,データ収集のための技術チャレンジであるHASC Challlenge2011とそれに続くシンポジウムを開催した.HASC Challenge2011には19チームの参加者があり,結果として136名、7668ファイルのセンサデータを収集することができた.これまでのデータを整理したものも合わせ,合計252名の基礎的な行動データが収集できた.また,当初の目的であった以下の点について達成した. ・データ形式の統一:HASCで検討してきたデータ形式を中心に,将来にわたり多様な応用で利用可能なデータ形式(行動データ,行動ラベルデータ,メタデータ)を定めた.初年度は基礎的な応用についての検討を行い,行動ラベル,メタデータの定義を進めた. ・被験者分布の影響調査:年齢・身長・体重・性別や個人性(スポーツ歴,体力,健康状態)などが収集されるデータに及ぼす影響を検討した.利用者の分布に基づき,被験者を募集する手法を検討した.また,被験者費用を計上しての収集だけでなく,個人の携帯端末を利用したボランタリベースでの収集を併用することにより,その差分を求める手法も検討した. ・HASC Challenge2011の実施:HC2010での経験を生かし,より広範囲なアプリケーションを対象とした,HC2011を開催した. ・基礎的行動データの収集:各年度毎に,その時点での成果に基づき,行動データを収集した.初年度は200人規模の行動データベースを収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
HASC Challenge2011の開催により,新たな大規模行動データ収集を行なうことができた.さらに,行動信号処理の共通基盤としてのHASC Toolの開発が進み,多くの機能が搭載され,多様な応用が実現可能になりつつある.また,データ処理手法については,着実に進展している.一方,特徴量や機械学習に関しての行動認識技術やデータ処理手法の高度化は十分に進んでおらず,今後の検討課題となっている.さらに,被験者が偏っている点の是正を検討しているが,バランス良い行動データ収集に関する検討が必要である.
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今後の研究の推進方策 |
継続的な取り組みとして,HASC Challenge2012およびシンポジウムの開催を行なう.単に大規模行動データを集めるのでは無く,データを生かした行動認識技術の高度化を進める.また,データの高精度化を進めるために,被験者分布に偏りが無いようなバランスデータの収集手法について検討を進める必要がある. また,すでに構築されているコーパスを手軽に活用できるためのツールの整備も進める.ドキュメントやチュートリアルを充実させることによって,多くの利用者が手軽に行動認識技術を活用できるような環境の整備を進める.また,社会で実際に求められている行動認識技術の調査を行なう.
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